根津と時々、晴天なり

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【ポケモン】休むと言えるあなたはすごい/時々休むネモについて

ポケットモンスター スカーレット&バイオレットに登場する、主人公のお友達、ネモちゃんが度々休憩を入れているのは、登校するまでの道中で気づかざるを得なかった。ここで考えたいのは、ネモの個性と「ちょっと休憩が多め」という性質のバランス感だ。

ネモはポケモン対戦が大好きなようで、ポケモンと出会ったばかりの主人公に連戦を持ち込むし、テーブルシティの入り口前でも戦いを挑まれるし、主人公にチャンピオンを目指せと示すし、とにかくバトルが好きだ。どうして彼女がバトルをそこまで好きなのかはまだよくわからない。

一方で、ネモは度々休憩する。灯台で休憩し、テーブルシティ手前でも休憩する(確か)。彼女の休憩のおかげで、灯台からパルデアの豊かな自然を一望できたし、ネモと一緒ではなく、先に主人公だけで探索するという「自分だけの」旅がある。ネモに導かれてだと完全に自由な散策はできないので、もしかしたらゲーム上の都合かもなあと思う。誰かに付きっきりでいられると窮屈に思うのは私もよく感じることだから。せっかくのオープンフィールドだもの、細かいところで主人公を一人で動かす工夫がされてるのかもしれない。

ということで、ネモの休憩はゲームの都合によるものかもしれないが、それは置いておいて、休憩を度々するネモと、彼女の個性というのは不思議なバランスの上に成り立っていて、私はそれが好きだ。

度々休憩する=疲れやすい、と言い換えると、疲れやすさは大概デメリットのように感じられる。

同じことをして私は疲れてクタクタなのに、他の子は元気が有り余っていて私の先に行く。その背中を眺めるのは少なくとも嬉しいことではない。あの子のように自分ももっと体力があったらなあ…という気持ちは、自分は駄目な人間なんだと、時に自己否定に繋がる。

が、ネモの振る舞いにはそれがない。ネモは堂々している。チャンピオンクラスという、ポケモンバトルのプロ級の実力の持ち主で、生徒会長でもある。疲れやすい?性質は、彼女にとってただの事実であり、そこにプラスマイナスの感情は無いように見える。

あと、これは率直にすごいことだと思うのだけど、あの年頃でちゃんと自分の体力リソースを把握し休憩を入れられるのってすごくないですか。びっくり。自分の持っているものを正確に把握することなんて大人でも難しく、「ちょっと休むねー」と言えるネモはすごいと思う。さっぱりとした性格も関係しているのだろうか。

ゲームというのはなんでもできてしまうからこそ、その「なんでもできる」に対してどういう制限をかけていくのか、というのは興味深いと思う。制限はゲームを作る側がかけていくもの、というのも面白い。制限のデザイン。

ポケモンSVは一度クリアしていて、もう一度最初からやり直しているところである。記憶を辿っても、そしてもう一度遊び直してもキャラクターたちがいきいきとしているように思うのは、足りているところと足りないところが描かれているからではないか。

ネモの時々休むところは彼女の足りないところかもしれないが、劣っていることではないし、休めるというのは素敵なことなのでむしろすごいことだよね、と考えられる深みがあるのが、ポケモン、楽しい。