根津と時々、晴天なり

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【キュウレン】スパーダは夢を奪うこいつらと同じなのか / 第四話「夢みるアンドロイド」

 前提のお話。

  • 宇宙を支配するジャークマターに立ち向かう勢力がリベリオン
  • リベリオンにはキュータマという球体を使ってキュウレンジャーに変身しジャークマターと戦うヒーローたちがいる
  • ラプター283はキュウレンジャーが乗る宇宙船オリオン号の、秘書兼パイロットのアンドロイドで、キュウレンジャーをサポートしてきた
  • ラプターは、自分もキュウレンジャーと一緒に戦うという妄想(ラッキーによればそれは立派な夢)を抱いていた
  • 銀河のとある星「チキュウ」を開放するべく降り立ったキュウレンジャーたちとラプターは、そこで子どもの夢を食べるダイカーン(ジャークマターの小ボスと的なやつ)と出会う
  • イカーンがラプターの夢に興味を示したことで、仲間たちは秘められた彼女の夢を初めて知る
  • ただ古参のスパーダは、ずっと前から彼女が夢らしきものを抱いていることを知っていた
  • 夢を応援するラッキーは、再びの戦闘にラプターと一緒にかけつける
  • スパーダは「何故彼女を連れてきた!」とラッキーに詰め寄る

 スパーダは戦闘慣れしていない(そして戦闘用アンドロイドでもない)ラプターを心配して彼女を戦場から遠ざけようとする。ラッキーはその考えを「夢を奪うこいつら(=ジャークマター)と同じだ)」と言う。

 

 さて「本当にスパーダとジャークマターは同じなのだろうか」というのがここで考えたいこと。

 結論としては、私はその意図はどうであれ、奪っている(奪おうとする)のに等しいのだから、ラッキーの言葉に違和感は抱かなかった。

 スパーダがラプターを心配する気持ちはよくわかる。ラプターを戦わせたくないのもわかる。あんなに可愛い人が傷つくのも見たくない。だけど、彼女の夢を、可能性を一方的に抑え込もうとするのはある種の暴力で、スパーダはラプターの夢を封じるのではなく「どうしたいんだい?」と聞くべきだったのだ。そして、ラッキーの言葉に一瞬考え込み、背中を合わせたラプターに向かって問いかけたスパーダに私は拍手を送りたい。スパーダ、マジえらい。ジャークマターは人々の夢を奪うことを絶対やめたりしないだろうけど、スパーダは考え直してラプターの背中を押した。時に自分の考えを改めて、他者を尊重できること、それがヒーローとジャークマターの違いであるという分水嶺。ちなみにチキュウの人々はジャークマターの支配に怯え、耐え忍び、ことなかれ主義に染まっているわけで、それも彼ら彼女らから夢を奪う行為である。己の意のままに人々を動かしたい、服従させたいという気持ちの萌芽は、実は愛するものを守りたいとか、誰かを大切にしたいという気持ちにも根付くものなのだなあ、ということを改めて考えさせられた。

 その上で、スパーダの株がさらに上がったのは、すぐに己の考えを見直しラプターに夢を問いかけ、その夢を後押ししたことと、ラプターの夢の前進を祝福するべく、ささっと桃のケーキを作る朗らかさであろう。私なら「ああ、僕は最低だ、ラプターの夢をずっと否定して自分のエゴを押し付けていた」とかなんとかで、一週間くらい病んでたと思う。スパーダくんの健康さが素敵だと思う。こういう在り方、かっこいいよなと思った。ちなみに、私はスパーダくん推し気味。いうて、キュウレンジャーはどのキャラクターも魅力的で全員推しといっても過言ではないのだが…。