好きな音楽、好きなアニメ。好きなことについて気ままに語ることはできるけれど、本に関してはいまだに独特の緊張感があります。しかし、話してみたいのも事実で、今年は自分の中で印象に残った本をまとめようと思います。
ちなみに同一作家の本が散らばっているのは、この並びが私が読んだ順だからです。
- 1. 江國香織『泳ぐのに安全でも適切でもありません』
- 2. マーセル・セロー『極北』
- 3. 千葉雅也『デッドライン』
- 4. ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』
- 5. 長谷部千彩『メモランダム』
- 6. 江國香織『いくつもの週末』
- 7. マーガレット・アトウッド『ダンシング・ガールズ―マーガレット・アトウッド短編集』
- 8. 宇野常寛『遅いインターネット』
- 9. ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』
- 10. ジュンパ・ラヒリ『べつの場所で』
- 11. 江國香織『とるにたらないものもの』
- 12. ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』
- 13. 津村記久子『浮遊霊ブラジル』
- 14. 金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』
- 15. 吉田篤弘『月とコーヒー』
- 16. コーリー・スタンパー『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』
- 17. アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』
- 18. アリ・スミス『秋』
- 2020年初めましての本
- 2021年への展望
1. 江國香織『泳ぐのに安全でも適切でもありません』
この本は今でも覚えていて、2020年の1月、年始にどこかに出かけて(大方家にずっといるのが嫌になったのでしょう)その帰りの電車の中で読みました。短編集なのですが、中身以上にあとがきが好きで印象に残っています。江國さんはタイトルが素晴らしいなと感じる作家です。
2. マーセル・セロー『極北』
村上春樹氏が訳したということでどこかから情報を拾い手を伸ばし読みました。一言では言い表せない内容の充実さと読後の余韻があります。
3. 千葉雅也『デッドライン』
この本は、本屋で四回くらい手を伸ばして買えずに立ち去るということを繰り返していたので覚えています。デッドラインです。
4. ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』
今年の小説観が変わったと言ってもいいくらい、自分の中で清々しい衝撃があった作品です。私はあまり海外文学を読むタイプではなかったのですが、この『掃除婦のための手引き書』以降、今年は海外作品を読む機会がぐっと増えました。小説って面白いし、人間って面白い。多くの人の間でも話題になったと思う本です。
5. 長谷部千彩『メモランダム』
こういう本が好きなんです。
6. 江國香織『いくつもの週末』
過去の私が「めっちゃいい」と感想に書いていたので載せています。内容は忘れています。どうしよう。でも過去の私が「めっちゃいい」って言っているから。
7. マーガレット・アトウッド『ダンシング・ガールズ―マーガレット・アトウッド短編集』
これも『掃除婦のための手引き書』と似ている。似ているというのは、人間って面白いなぁと思えるところ。かなり読みごたえがありました。アトウッドの本は他にも読みたいのですが、なかなか気負ってしまっています。
8. 宇野常寛『遅いインターネット』
色々考えますね。
9. ジュンパ・ラヒリ『わたしのいるところ』
今年とは?私の読書生活に関して言えば「ジュンパ・ラヒリとアガサ・クリスティーの年」と答えたいです。この本は書店で平積みになっていてずっと気になってはいたものの、なかなか手を伸ばすことができず、ようやく読み始めたと思ったらグイグイとハマってしまいました。
10. ジュンパ・ラヒリ『べつの場所で』
ということでラヒリ二作目。今年は、国と国の挟間、それらを行き来する者たち、というテーマもありました。自分の中で関心があるというよりは、たまたまそういう本を手にしていた感じ。ラヒリのこの本は自分で言語を習得するプロセスが丁寧に描かれています。 外国語を勉強したくなる感じ。
11. 江國香織『とるにたらないものもの』
12. ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』
こちらはエッセイではなく短編集。いいです。
13. 津村記久子『浮遊霊ブラジル』
特にうどん屋のジェンダーの話と 『給水塔と亀』がいいです。津村さんの話はたくさん読んでいるわけではないけれど、好きな話が多いです。
14. 金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』
焦がれる感じ。すごいとしか言いようがない。
15. 吉田篤弘『月とコーヒー』
本大好き!な気持ちになる本。所有欲を刺激する本です。
16. コーリー・スタンパー『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』
いいから読め、以上。
17. アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』
クリスティー作品はメジャーなものから少しずつ読んで今年は結局7冊ほど。『アクロイド殺し』のオチもすごく好きなので候補に挙げていたものの、『そして誰もいなくなった』の破壊力でそれどころではなくなりました。すごく好き、だと思う。ご都合主義とかそんな批評、はぁ?って突っかかりたくなるぐらい。あ、読んだことある方で「んなことないってば。そんな上手くいくはずがない」という指摘、私もそうだと思うのですが、小説でそこツッコんだら意味なくない?って思う読者 is 私。物語に踊らされてみろよ、とか言いたい。極限状態における人間の内面の描写に痺れる。
18. アリ・スミス『秋』
最後にアリ・スミスの『秋』。良かった…。テーマ性はまた違うけれど多和田葉子作品に通じる言葉の面白さがあると思う。『冬』『春』『夏』もあるのだけれど、翻訳されるかはわからないらしい…むむむ。続刊が翻訳されることを願うばかりです。
2020年初めましての本
今年初読み、かつ、印象に残っている作家さんだと、柴崎友香さんとか、千早茜さん、多崎礼さんかなぁ…本としては挙げてないですが、来年以降も気が向いたときに著作を手に取れたらいいなという感じです。(やばい多和田葉子さんの入れてなかった…もちろん初めましてです。三連作は2021年で完結するのかしら)
2021年への展望
コロナ禍で家にいる時間が増えたから、というのは関連がありそうであまり関連がないです。読んだ冊数だけで考えるなら、去年の方が読んでいました。
ただ、書店への売り上げに貢献したい+本を所有したいという欲が重なって、月に1回、本を買うようになりました。事前にリサーチするわけでもなく、その時の気分に合わせて本を買う試みは、我ながらうまく機能していると思います。本に関して「ハズレ」という考え方を持ちたくはないのですが、買う本買う本どれも自分の中で大切なものになっています。というかそうでなければならないという意地もあるのかもしれないです。貧乏性なのか。
2021年への展望。とりあえずクリスティーは引き続き読む。海外作品も読む。あとはその都度読んだ感想はきちんと自分の中でまとめられたらいいなーと思います。それぐらいですね。十二国記シリーズの新作短編集と、もうずっと待っている図書館の魔女シリーズの新作が出ると、嬉しい。出なくてもまた新しくハマれる本に出会えるはずだから、来年も楽しみにしています。