根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

【お出かけ】芸術との出会い/ルーヴル美術館展に行ってきた

国立新美術館で絶賛開催中の「ルーヴル美術館展」に行ってきました。

すっごく楽しかったので、お出かけレポを書きたいと思います。

導入:美術館初心者の私の話

美術館初心者の私です。

正直、つい最近まで「美術館とか博物館とか何が楽しいの?」と思っていました。本当に。一方、動物園や水族館はかなり好きで、各地を巡ることこそしないですが、一人で動物園や水族館、植物館に行くのは好きです。

「一人で何が楽しいの?」

と言われたことはありませんが(笑)そう思われることもあるのかなぁ…と思うことがあります。「一人で何が楽しいの?」いやいや楽しいんです。自分のペースで、自分が思うままに可愛い動物を見たり生き物の匂いを嗅いだり、魚の美人ショットを撮るために水槽に張り付いてみたり(もちろん他のお客さんの邪魔にならない程度に)何の植物かはわかりませんが、ただただ緑の中を歩くだけでも、楽しい。

結局自分は、どんな状況下でも、どんな場所でもある程度は面白みを見いだせるのです(それは数少ない自分の美点の1つに含めたいところ)。

そんな私が、しかし、美術館や博物館にはあまり気持ちが向かなかったのです。1つは「動き」「生きているもの」を見るのが好きだ、ということがあります。なんとなく美術館や博物館は過去と向き合う場所、時間がそこで止まっている空間。もっと生々しいものが見たい知りたい…という気持ちだったのです。動いているものを見るのは好きです。

もう1つは格式が高そうだなぁ…と思っていました。美術作品を理解し味わうためには背景や文化的知識が必要だと思っていました。そして私はそれを持ち合わせておりません。

ということで、今まで敬遠しておりました。

美術館に行こうと思ったきっかけは、「ルーブル美術館展」なのだからきっと有名な作品も多く何かしら感動はあるだろう、と思ったことと、最近『楽園のカンヴァス』など原田マハさんの本を読み、絵画は面白そうだなぁ…と思ったこと、加えて趣味を色々増やしたいなぁと思ったことでした。趣味、たくさん持ちたい。

さて、ルーヴル美術館展に行きましょう。

 

国立新美術館まで

そういえば国立新美術館は初めて行く建物です。調べてみると、東京メトロ他地下鉄が乗り入れている六本木駅から歩くか、乃木坂駅から直結出口(開放時間が決まっているようなので注意。夜は国立新美術館が閉館するのに合わせて閉まっちゃうみたい)で行けます。暑い中歩きたくないので、今回は乃木坂ルートで乗り込むことに。

決行日は土曜日の午後。なんと金土は7月8月9月までは21:00までやっているとのこと。神?本当は前日の金曜日、退勤後に乗り込もうと思って頑張っていたのですが無理そうだったため、土曜日の午後夕方あたりに行こうと切り替えました。仕事終わりに行ってもいいですけれど、じっくり味わうことも考えると時間にゆとりがあった今回のプランのほうが正解だったかな(人は多かったけれど)。

 

乃木坂駅から直結出口。

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謎の手振れ。

ちなみに混雑緩和だと思いますが、出口近くて臨時の当日券チケットが売っていました。大人:1600円です。学生さんはもっと安いよ。行ったほうがいいよ。あとで書くけれど、中高生は7月中は無料みたいだよ。いいから行け。

外に出る。ででんでん。ちなみに私は何が展示されているのか、「ルーヴル美術館」に展示されているやつが来日するんだよーぐらいしか事前知識として入れていません。この小さな子は、誰。

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臨時チケット売り場も、本来のチケット売り場も全く並んでいなかったので「あれ?もしや土曜日だけどそんなに人がいない?」と期待しながら中に入ったら、いえ、人がいました。ワイワイしています。

国立新美術館は中にミュージアムショップやカフェもあるので半日かけて建物まるごと楽しむのも面白そうですね。できることなら平日で人が少なめな時に行きたかった…。

そのまま展示室に入ることもできますが、普段荷物が多めな私はコインロッカーに預けることにしました。全然空いてた。100円。しかも使い終わったら100円が戻ってきます。神かな(2度目)。

荷物は預けたほうがいいです。少ないのであればいいですが、展示中はほぼ立ちっぱなし、また時間の感覚を忘れるので(それは人による)荷物の負担は少なくするべきです。貴重品以外はロッカーに入れておきましょう。財布は持っていきましょう。

 

いざ入場:まずは美術館という空間に

空調

美術館自体が久々なので(初めてではない)まずは美術館という空間が珍しかったです。初めに「空調が設定されています」云々の断りが貼ってあって、いうてそれほど寒くないだろ…と高を括っていたら結構ひんやり。作品にとって最適温度ってどれくらいなのでしょうかね。ちなみに、当日の私の服装は普通の綿シャツにジーンズ、サンダルでした。かなり暑がりな人間なので薄いカーディガンとか羽織るものがあると良いかもしれませんね。ノースリーブのお姉さんは途中で監視員さんにブランケット借りてました。監視員さんキットみたいな存在の中身、知りたい…。何が入っているんだろう。

 (大体21℃前後くらいみたいです。そ、それは寒いはずだ)

鉛筆

生粋のメモ魔ということで、メモとボールペンを持ち込んで感想とか色々書いていた私。が、監視員のお姉さんに声をかけられる。「申し訳ありませんが、こちらをお使いください」。差し出されたのは、アンケート記入などに使われるよく見る鉛筆っぽい筆記具。これは私の知識不足かつきっと注意書き等の見逃しだったと思いますが、美術館では基本的に「鉛筆以外の筆記具」は使用不可です。な、なんと。シャーペンもボールペンと見分けづらいので、無難に次回からは鉛筆を持参することにします。ぐぬぬ。初心者だわ私…。

暗さ

特別気にはならなかったけれど、展示室内は若干暗かった気がします。壁の色とかも関係すると思いますが。なんか薄暗いなぁ…程度。当然のごとく窓はなく、防犯カメラもばっちりとありました。

信頼の上で

これは鑑賞中にふと思ったことですが。美術作品ってものにもよりますが、ガラスケースやアクリルの板っぽいもので覆われている彫刻や絵画もあるのですが、大概はそのままどどんと彫刻が立っていたり、壁に絵が掛けられています。その価値が果たしてどれほどのものか。「金」で換算することももちろんできるのでしょうけれど、人類の遺産として、可能な限り遺していくべき作品とみなされているものという評価に、私は眩暈がしてきました。もし仮に私が今、目の前の絵画に唾を吐きかけたら、一体私はどうなってしまうのだろう・・・。

展覧会を開くためには、美術作品はあちこちの施設や個人蒐集家から貸し出されると聞きます。そこには多額のお金と、約束事が取り交わされているのでしょう。だけれど最終的に今、私の目の前にこの作品があるのは、たくさんの人の信頼があるから。ここに貸し出しても大丈夫だろうという信頼がなければ、海を越えて芸術作品はやってこないんですよね…。こ、怖いです。マジで。そう身構えると自分が何をしでかすかわかったものではないので、目の前の作品に集中することとします。ほんと、美術館ではきちんとした振舞が求められます。普通にしていれば大丈夫ですけれど。

 

面白かった作品

以下面白かった作品を個別に紹介します。

棺に由来するマスク

めちゃめちゃほしいと思いました(←え?)そもそも面とかマスクって集めてみたいですよね。狐面と能面は生きている間にとりあえず欲しい。

この棺に由来するマスクは、ああ、エジプトだな、と思うマスクですけれど、材質は木と石と(目の部分とか)青色のガラスなんですって(多分眉の部分)。えー、面白い。青色のガラスがチャーミングです。死後来世で永遠に生きる際にふさわしい理想の顔をイメージしているようで、このマスクがそのまま個人の顔、というわけではないそうです。へー。

 

女性の肖像

棺に由来するマスクと対照的でこちらは非常に写実的。確かに時代的には3000年から4000年くらい違うものですけれど、こちらは今の日本の葬式で登場する「遺影」にめちゃめちゃ近い。個人に似せているんですって。絵が鮮やかでもっと新しいものだと思ったのと、人間って昔も今も顔って変わらないんだなぁ…と思ったのが面白かったです。普通に今でも生きてそうな女性の顔だった。

 

狩りの女神ディアナとして表された若い娘の肖像

欲しい(2回目)。これめちゃめちゃ好きです。若くして亡くなった女性を女神ディアナになぞらえてるみたいです。女神ディアナはローマ神。ギリシア神話で言うアルテミスに相当する存在。狩猟、月、純潔の神。やはり西洋美術を理解するためにはギリシア神話およびローマ神話の知識は必要か…。これを理解すれば私が推しているK-POPアイドルVIXXのあの作品群も理解できるのか…。よし、勉強しよう(笑)挫折したが。

以後ひたすら驚くことになるのですが、彫刻作品がヤバいことがよくわかった展示会でした。この若い娘の肖像は材質が大理石なんですけれど、いやいや、弓を持っているあの手ってどうやって彫ってんの?というツッコみを100回以上することになります。彫刻、すごい。

 

ブルボン公爵夫人、次いでブーローニュおよびオーヴェルニュ伯爵夫人ジャンヌ・ド・ブルボン=ヴァンドーム(1465-1511)

まず言っていいですか。作品名長すぎ。これはこの肖像作品のモデルの名前のようです。ブルボン公爵に嫁いだ後、夫を亡くしオーヴェルニュ伯爵夫人となったジャンヌさんです。

それはともかく、なかなかショッキングな彫刻です。好きです。死神みたいでした。頭にすっぽりと布を被り、腹にはウジ虫が湧き、腸らしきものが見えている。目はうつろで、まさに死神。当時流行していたペストで命を落としたようです。衝撃を与えてくれる作品、好きです。

 

聖別式の正装のルイ14世(1638-1715)

イアサント・リゴー(1659-1743)の工房。

こちらは絵画。豪奢な正装を身にまとったルイ14世肖像画。私がめちゃめちゃ気に入ったのはルイ14世が履いている青みがかった灰色のタイツ。足がムチムチしてて可愛い(可愛いとは何だね君は)。本当にムチムチしてて、王様って細身よりふくよかなほうが様になるなぁ・・・と思いました。実際はどうだかわかりませんが。

 

戴冠式の正装のナポレオン1世

クロード・ラメ(1754-1838)

圧巻。これ見て1600円の元はとれたと思いました。とにかくでかい。噂によるとナポレオンは小柄な方だったそうですが、実物より絶対大きい。そりゃあそうですよね、権威発揚ですもの。またこちらも彫刻作品ですが本当に造形が細かい。布のひだひだがちゃんとひらりひらりとしていて、白い布を纏っているのでは?と思ってしまうぐらい滑らか。大理石ですよ。こんな風に彫れるもんなのか。あとはどれぐらいの大きさの石から削り出しているんだ。そもそもこんな大きな大理石ってあり得るのか。やばい。

こんな肖像を人に作らせられる俺って偉大だ、みたいなロジックで作りだされた芸術はたくさんありそうですが、確かにその通り。身分ってすごい。

 

ルフレッド・ド・モンゴメリー伯爵(?-1891)の肖像

ルフレッド・ド・ドルー(1810-1860)

これもすごかった。絵画作品ですが、とても細かい。モンゴメリー伯爵が騎乗している構図。モンゴメリー伯爵の立ち位置が高台にあるようで、彼の背景には平地にわちゃわちゃある家々(だと思うけれど)と海が見える。そして空。空にむくむくと湧く雲と空の青が水面にきっちりと描かれていて、画家ってとんでもない人たちだなと思いました。あとは馬の馬具もすごくリアリティがあった。鉄のつややかさとか。

 

エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人(1761-1829)の肖像

エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン(1755-1842)の作品

エリザベート」というからには、もしかして…と思ったら女流画家でした。すげえ。思えば今まで私は「男性」画家しか知らなかったのかもしれないです。男だから女だからと区別をつけるのはナンセンスですが、この時代に女流画家として食べていける人がいたとは。この時代の女性はどう生きていたのでしょう。気になります。

とにかく可愛い。本当に可愛い肖像です。巻き毛のくるっくるとしたふんわり具合。丸丸とした頬。口をぎゅっとしてこちらを見つめるエカチェリーナさん。惚れる。肌の透明感といい、「絵を見て惚れるなんてことはないだろう」という考えは撤回します。惚れます。

 

ジュゼッペ・アルチンボルド(1526-1593)

めちゃめちゃ好きな絵。アルチンボルドさんの「春」「秋」がこの展覧会の最後を締めるわけですが、うわ~~~新しい!!!と思っていたら彼が生きたのは16世紀。ほ、ほんとうですか。すごいなぁ・・・。新しいと思ったのに。今から500年も前にはこの作品が生まれていたのですね。

ごちゃごちゃしているものが好きなので、肖像に見えて細部に目を凝らすと花々が咲き誇っている「春」や果物がごろごろしている「秋」という作品、大変好きになりました。「肖似性」と「多義性」が1つの絵画に成り立っている、と言われていました。

四季の連作ということで、夏も冬もあるのですがそちらも合わせて見たかった…というか去年アルチンボルド展が日本で開催されていたみたい。とても行きたかった…悔しい。

 

展覧会出口:もれなくお土産祭り

ということで、これにて終了。大変満足、充実した時間を過ごせた感覚からテンションがめちゃめちゃ上がってしまい、財布の紐がゆるゆるに。出口を抜け出すと待ち構えるはグッズ売り場。今回のルーヴル美術館展のカタログが2500円で販売されていて、30秒くらい見本とにらめっこしながら頭の中で財布の状況を家の収納スペースと自宅でそのカタログを開いている自分を想像して、結局断念しました。買ったほうが良かったかもしれないと今は思っています。何故なら、何を見たのか忘れるからです。

カタログは買いませんでしたが、ポストカードを4枚と、なぜかRollbahnの限定デザインを買っていました。果たして何の限定デザインだったのか。お洒落な表紙です。ノート好きなものですからいいでしょう。

こうして私は好きなもので日本の経済を回せる範囲で回すのだ、と思いながら会場を後にすることにしました。

 

帰宅:六本木駅まで

行きは乃木坂を利用しましたが帰りは六本木を利用することにしました。お店も色々あることですし。さほど歩かずに六本木駅に着くことができました。歩く人がお金を持ってそうで、「ひゃーーー><」と思いながら歩きました。特に東京ミッドタウンは恐れ多くて足を踏み入れられなかった。なんか圧がすごい。

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六本木からやってくると国立新美術館の外観はこんな感じです。ガラス。掃除が大変そう。

 

最後に:美術館の感想

とても楽しかったです。「楽しい」には様々な種類がありますが、今回の「楽しい」は頭の中で想像を広げ人間のすごさに感動する楽しさでした。本当に、芸術ってすごいのですね。

そこまで詳しくないですし「あー写真っていいなぁ」と思う程度に写真を撮ることも見ることも好きですが、写真では味わえない感動。人の中で考え構成されたイメージがその腕で何か別のものに構築しなおされている面白さ。色の重ね方や油絵のテカリ。そして今私は実物を見ているんだという目撃者のような感覚。楽しい。特に美術館に行って実際の作品を見ることのすごさを感じました。これは例えば映画を映画館で見る、音楽をライブやコンサートで聴くことと似ています。空間と作品があることで得られる臨場感のようなものは、今後は私の足を現場へ運ばせることでしょう。面白かったです。

 

例によって一人でふらふらと行ってきましたが、おひとりで来られている方もいらっしゃったし正直同伴者と会話をするどころの騒ぎではないので、一人でも行ってみるといいと思います。六本木の駅構内を歩いていたら私以外カップルで泣きそうになりましたけれど。

 

最後に、先にも書きましたが7月29日(日)までは中高校生は無料観覧みたいなので興味があるならば行ってみたらいいのではないでしょうか(マナーは守って。ただ鉛筆知らなかった私が人のことは言えないが)。特に世界史選択だった私としては、全然見ていいと思います。あーこの時代のこの絵ね、だけでもつながりが見いだせると興味が湧くのではないですかね。大学生も料金が安く設定されているし、さらには提携していて安くなる大学があるので自分の大学が提携校か調べてみるといいと思います。国立新美術館が安くなるのなら、他の美術館も安くところがあるかと思います。

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関西では巡回展として9月22日から大阪で開催されるようですね。

これから色々美術館めぐりしたいなぁ…と思います。趣味:美術館巡りって書きたい(笑)