根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

【映画】羨望と絶望、美/『リズと青い鳥』ロングPV

疲れた時に、よくこの映画のサウンドトラックを聴いています。というか、絶賛体調不良です。そこに染みこむ、極上の音楽。繊細で壊れやすい世界観。素晴らしい。

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このロングPVが、好きです。映画ももちろん大好きです。

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【VIXX】人を廃人にさせるステージシリーズ/VIXX「On and On」20130220編

On and Onに厳しいです。

なかなか「これだ!!!」という音楽番組でのパフォーマンスに出会うことができていなくて、もちろん好きな曲なのですが好きだからこそ厳しくありたい、そんな気分。うろうろと彷徨って何年だ。久々にたちるブームがやってきまして、見つけました。現時点では(というかこの曲は5年前のリリースだから今後これを上回る新しい動画で出るとは思えない。いまだ見つけられていない動画を掘り起こすだけの作業)この動画が私の中でBESTだと言いたい。2013年2月20日、SHOW CHAMPIONの動画です。

 

噂の動画。

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評価基準としてはシンプルで、

「ラストサビでNさんが心臓を差し出してるところを正面で捉えているか」だけなんですよね。あとはこれから言う細々としたポイントはあるものの、私の中で最も大切にしたいポイントはこの部分。

ラストサビのNさんのパートって全メンバーがずらららと斜めに並んで最高に見ごたえがありかっこいいところなので、わかりますカメラマンさん、斜めのポイントから撮りたいですよね。

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(Nさんの顔が影で隠れてしまっているけども)(これは別日別番組でのカット)

結果、Nさんの心臓を捧げるあのシーンが彼に寄り切らないまま次のカットになっちゃわけです。これが私としてはすごく不満で。Nさんを正面にしてバシッと撮ってくれよと。

その不満点を解消しつつ、その他のカメラワークも歌声のコンディションも悪くない20130220をBESTたちるパフォーマンスとしたいわけです。(もっと良いパフォーマンスがあったら教えてください)

 

ということで、たちるBESTパフォーマンス動画が暫定的ではありますが決まったところで、VIXXの「On and On」について語りたいと思います。

 

VIXX「On and On」

2013年1月リリース。闇落ちコンセプトドルVIXXの始まりといえば始まり。実はVIXXはOn and On(以後「たちる」)の前作であるRock Ur Bodyはゲームのような恋をしようコンセプトなので、コンセプトはたちるに限らず毎回何かしら打ち出していたのではないかなと思うけれど、なにぶん「たちる」のコンセプトが強烈すぎた。ここからVIXXが始まったと言っても過言ではないのかどうなのか。

ヴァンパイアコンセプトということだが、聴くとこれが結構わかりづらい。個人的に「ヴァンパイア」と聞くと、血、黒、コウモリ、館、黒々とした枯れ木、牙、マント、ワインなどなどを想起する。個人的なイメージだから勝手にピンとこないままやっていろという話ではありますが、こっち(SUPER JUNIOR / Opera - Music Video short ver. - - YouTube)のほうがよほど吸血鬼っぽい。こちらはオペラだけれど。牙と血が出てくれば全然吸血鬼。

何がピンとこないって、「ヴァンパイア」といいつつ自分が思っている以上に曲が明るいのであります。湿っぽくない。かといって陽気な歌でもない。出だしの「おおお!?」という力の入りようでそのままいくのかと思いきやレオさんの第一声で案外暗くない曲であることがわかる。電子音っぽく加工されたサビなんかはMVでも舞台になったように宇宙ぽさを感じてしまう。不思議な曲である。そして疾走感。とにかく駆け抜ける3分。スピード感がすさまじい。暗くもなく爽やかでもなく、セクシーな音でもなく、一体この音はなんだと今も言いたい。どこに属したらいいのだこの音は。という宙ぶらりんな状態が実はOn and Onの魅力の1つかもしれないなと思いました。コンセプトという新たな道を開拓しただけの力がある。というかこの曲でなければ今のVIXXはありえなかったのでは?と思わせるヤバさがある。

そして目を引くビジュアル。どぎついメイクはそこまで好きではないが、このメイクでなければならなかった必然性を感じる。説得力がすごい。VIXXにハマりかけの頃「えねねんの銀髪、神」しか喋ってなかった知り合いがいたが、激しく同意する。えねねんの銀髪、神。顔がしゅっと小さいからこのもっさりなヘアスタイル、銀髪がすさまじく似合っているのだろうか。顔が小さくて首が長いからできるヘアスタイルだ…。すごい。ラビさんは今のオシャレうぉんしくのほうが断然かっこいいと思っているからノーコメント。でもOn and Onの時の気迫はどのパフォーマンスを見てもラビさんすごい…。かっこいい。あとは東出ケンちゃん。俳優の東出さんっぽいから「たちる」期のケンちゃんをそう呼んでいる。めちゃめちゃかっこいい。本当にかっこよい。スーツがめちゃめちゃ似合う。スーツに着られている感の瀬戸際みたいなところが個人的には好き。ヒョギは一番ヴァンパイアっぽい。冷酷で人を自分の主食である飲み物を運ぶ容器ぐらいにしか思っていなさそうな慈悲の無さを感じてドキドキします。パート…あげてくれ…。レオさんは赤髪が良いのです。落ち着きがある赤い髪は大好物なので嬉しい。ホンビン君は今(2018年8月)の容姿で「ゲーオタです」と言われれば不承不承納得するけれど、この時期のホンビン君を「世界トップ10位内に入ったことがあるらしいネットゲームのヘビーユーザーです」と言われても納得はしない絶対。雑誌のモデルやってそう。

そしてパフォーマンス。めちゃめちゃ好き。あまり力技に頼らない動線が好き。だけどワンシーン毎にぱっと変わる隊形が好き。例えば、2番の始め。3-3で背を向けて踊るところ。観客に背を向けて踊ることは新鮮なことではないかもしれないが、トランプの絵柄みたいで面白い。このダンスがHydeにもつながって面白い。VIXXのダンス考えている人天才だなーと思っていたところ。

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ダンスの好きなところを言うのは難しいのでこれぐらいにしておく。あとはVIXX恒例一直線隊形とか斜め隊形も超好き。

 

それでは、本題の(ここまで本題ではなかった驚くことに)20130220のパフォーマンスについて言及していこう。

 

廃人ポイント①衣装

私はこの衣装が好きだ。アルバムのジャケットにも使われているやつだ。黒のスーツ。ちょっとしたアクセントの飾りがついているがくどくない。お揃いの衣装だけれど肩幅や腰の幅、足の長さなど高身長で揃っているということで逆に体格の違いがじわじわと出てくるスタイルの良さ。他にも「たちる」のパフォーマンスは様々な衣装が登場するが、これが一番好きだ。スーツをかっちり着てくれるって結構貴重なのよね…。

 

廃人ポイント②2人のメインボーカル

この曲は先にも言ったようにサビが若干加工されていて音源だとヴァンパイアよりよっぽどサイボーグっぽいと思っているけれど、音楽番組のパフォーマンスになると1番をレオ、2番をケンがそれぞれ歌っていてそれが良い。よく見てみると、「でぇ~~~~~~~↗」とめちゃめちゃ歌っている。ボーカルに専念するため腕のぐりぐりがメインボーカルだけ無いのですね。いいよね…そういうところ。この「でぇ~~~~~~~↗」で2人のメインボーカルの良さが味わえるのが私はとても好きです。例えばレオさんは一生懸命なのね。この人は声をコントロールすることもできるけれど、それより爆発的に声を響かせる方が断然好き。ケンさんはストレートに響く声。すっと前に差し出した腕に音が乗るように、こちらにまっすぐ届く声。スカッと気持ち良くなる歌のうまさ。低音はあんなに大人で色っぽくなるのに、こういうスパッとした高音を出せるのがケンさんなのよね…(うっとり)。

改めて聴くとサビ以外でもメインボーカルががっつり歌うしこれがVIXXの良さでもあるのです。最近は総合力がめきめきと上がってしまったことでさらに様々な声を堪能できるグループになったけれど、主となるボーカルが固まっているからこその統一感みたいなものも良かったよね…。はあ…好きだ。

 

廃人ポイント③えねねん心臓ポイント

刮目してみよ。

この曲の最も感情が高ぶる最高点はどこなのか。これは賛否分かれるところで、ラストサビ直前のケンちゃんかラストサビのホンビンくんか。しかし私はラストサビのえねねんがこの曲の最高到達点と言いたい。ここが要だ。ここで震えてしまう。何で君はそうなの。どうしてこんなひどいことをするの。責めるだけ自分が傷つき惨めになるのに責めずにはいられない。そして捨てられることはわかりきっているのに逃れることができない。そんな一人の人間の切ない感情を歌い上げるわけだけれど、今までサビで丁寧に「なんで」「どうして」と歌い上げる声には悲哀が多めに混じっているけれど、えねねんのこのパートはちょっと怒気が混ざっていてグググっとくる。そういうのが好きなんだよなぁ…でも心臓を捧げちゃうんだなってところまで込みで。とても好きだからこのパートのえねねんを真正面で見たかった。

 

 

ということで、大体書くことができました。書く前より書いた後のほうが好きになれる。そういう力を持った曲です。ほんと、良い曲だな。

人を廃人にさせるぐらい魅力的なステージです。ずっと見ていたい。

 

다칠 준비가 돼 있어 On and On

다칠 준비가 돼 있어 On and On

  • provided courtesy of iTunes

 

 

【雑記】「推し」とは私の中ではファッションや文房具を選ぶことと同じ感覚なのでは?ということに対する考察

タイトルそのままが今回言いたいことなのです。

 

きっかけはこれ。

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久々に見ました。1年半前に公開されている動画だしこの曲はとても好きな曲だから定期的に聴いてはいるのだけれど、今も感動は色あせない。いや、違う。あの時の自分とは違う自分だから、感動もまた違う。やっぱりいいなぁ…この曲この動画。

 

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【SVT】Holidayすればよかったんじゃない?日記

いまだに腑に落ちないことが1つあって、Holidayって活動曲じゃないの!?ということなのです。そんな私はHoliday芸人。SEVENTEENのHolidayが大好きな人間です。Oh My!も好きだけど。

 

Holiday

Holiday

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【ONF】「JAPAN DEBUT SHOWCASE」行ってきたレポ

ONFの日本デビューショーケース行ってきたよレポ、です。

相変わらずレポを書きたい人間です。行ってきたよ、お出かけしてきたよ、そういう文章を読むのが好きなもので。

超どうでもいい(私はむしろ町散策とかのほうが書いていて楽しいけれど、まあ、多分どうでもいい)ところはすっとばせるように目次立ててます。目次を立てているので気になるところから読んでみてください。今回行っていない人にもうまく伝わればいいなと思いながら書きます。

  • 前日準備
  • 今回の目標
  • 当日:あかさかさかすまで
  • グッズを買いました
  • 戻りました。開演まで、です。
  • ショーケースレポ:メンバー別ざっくり感想
    • ヒョジン
    • ジェイアス
    • イーション
    • ワイアット
    • MK
    • U
    • ラウン
  • デビューショーケース:セットリスト(うろ覚え)
    • 前半4曲
    • トークタイム
    • 立ち話タイム
    • ドキドキアイランド
    • 後半戦
    • アンコール
  • まとめ

 

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【VIXX】人間であることをやめる献身の物語/VIXX「Voodoo Doll」感想

きっかけはこれでした。

ヤバい。書きたい。

何でこんなにわぁーわぁー言っているのかというと、「何もかも捧げよう」というただ1つの共通した意思だけを残してまったく正反対の楽曲がここに2つ存在するからです。希望に満ち満ちと、愛に酔い眩しい溌溂とした喜びを滔々と歌い上げるONFの「On/Off」と、絶望からの終着点、理性でもって人間であることを辞めようとするVIXXの「Voodoo Doll」。

はっ!!Σ(・□・;)

びりびりします。

ということで、これは前編・後編ということで2部構成です。記事はそれぞれ別ですけれどVIXXは今回、後半はそのうちONFを、公開することとなります。

 

実際、ONFの「On/Off」という曲のメインテーマは「コントロールできない」ということですけれど、ONFがすごかったのはそこだけに留まらず最後の最後に「何もかも捧げよう」(Japanese ver)「僕を君の男にしてくれ」(翻訳されている方の和訳をいくつか拝見したうえでの意訳)というように、愛する者への「献身」がうかがえます。実際「On/Off」は「献身」以上に、「ヒモ」っぽさをさらりと歌い上げるめちゃめちゃヤバい曲かつそもそも「ヒモ」ってなんやねん、「僕を君の男にしてくれ」というフレーズからなんとなく広がりそうなジェンダー論や男性像の固定概念、考え方の歪み、みたいなものにも広がりそうな、ほんとすごい物件なのだと私は勝手に思っているのですが、今日はVIXXです。はい。

 

VIXX「呪いの人形」

MVはグロいよ(でも大丈夫、きっと求肥とかだから安心して見て!!!痛くない痛くない)(clean verもあるから本当に苦手な人はそっちを見るといいよ!!!)

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私が(現時点での)人生で聴いた音楽の再生回数をランキングにしたら、多分この曲が1位を獲得すると思う。それぐらい好きで、それぐらい何度も聴いた曲です。

多分ものすごく長くなると思うけれど、個人的にこの曲の大好きなポイントを挙げてみようと思います。もしかしたら主題より長くなるかな。

 

最初からやや細かいところに注目するけれど、この曲とにかく良く拍が揃っていて、惚れ惚れする曲です。拍というかタイミングというのかな。パッと腕を伸ばす。足音が揃っている。しゃがむところが一緒。ちぇかちぇか揃っている。

このパフォーマンスよりキレがあって揃っていて技術的に上かもしれないグループやパフォーマンスはあると思うけれど、揃えるところとそれ以外のメリハリを効かせているパフォーマンスは近年のトップK-POPグループだとあんまり無いかもしれない。今の主流(というものがあるのか果たして)はとにかく揃える。いついかなるときも揃える。遊んでいるようで模範的に遊んでいるパフォーマンス、というのが個人的な印象。(もちろん好きである)

この曲、基本的には移動→揃える→ハッとなる→移動→揃える→ハッとなる→移動・・・の繰り返しだと思っているのだが、本当に面白い。動と静の切り替えがきっぱりしていてゆるっと動いてパッと止まる。そこでカメラさんがそのパートを歌うメンバーをクローズアップする。さ、最高かな。足音をきちんと揃えているので、移動中も無駄を感じないスマートな流れで、このダンスパフォーマンス考えたコレオグラファーさん、天才だなと思っています。(一番の天才の仕事は同じくVIXXのHydeだけれど)

 

物語性あるダンス構成

そして物語性があるダンス構成も見どころの1つ。呪いの人形が召喚されるところ。人形だから誰かに縛られている存在で、鎖みたいにメンバーに繋がれているところ。ぶすっと体が杖で貫かれるところは周囲のメンバーが貫かれる人形と動きがリンクしていることで人形の操られ感を演出しているし、祈っているし、自分でしまいには己を刺すし、ちょっとどうかしてるぜこのダンス(もちろん誉め言葉)。つまりVoodoo Dollのダンスは、VIXXのメンバー扮する6人の人形たちの、悲しみの舞ということです。ははは。すげえ。

 

ボーカル

唐突に言うと、レオさんの声って悲哀を乗せるのにすごく良い声質だなと思っています。こう上品で滑らか。鋭いのだけれど絹のような滑り具合、みたいな。私はよくヴァイオリンみたいな歌い方する人だなぁと思っているですが、本当に艶やかな声の伸び方をする人だと思っています。特に「ちぇーばる~♪」2番の「お願いだから~云々」のパートがすごく好きで、うん、すごく好き(語彙力の放棄)。

 

絶望からの献身

本題に入ります。VIXXのVoodoo Dollは、ある一人の人間が「人間であることをやめる」物語である、と私は理解しています。気高き献身の物語です。

 

VIXXのVoodoo Dollにおける「献身」とは、「この目の前の、自分が最も愛する人物は永遠に自分の手には入らない」という絶望から生まれています。

 

自分がどれほど願っても。自分がこんなにも愛しているのに。自分の最も愛するあの人は自分のことを見向きもしない。この愛する人物を仮に「彼女」と言い換えると、彼女の世界には自分がいない。自分の世界には彼女しかいないのに。このまま時が立てば、自分の存在は彼女の世界から一切なくなってしまう。なかったことになる。それならば、何をしても何もしなくても彼女は自分に振り向いてくれないのならば、自分は彼女の幸せのためにこの身を捧げよう。そういう曲です。 

VIXXのVoodoo Dollには希望がかけらも存在しません。絶望故に彼女の呪いの人形になることにしましたが、呪いの人形として彼女の望みを叶えたとしても彼女が自分に笑顔を見せることはないことが痛いほどわかりきってしまっている。「彼女に尽くしたら、いつかは彼女も自分のことを・・・」なんて下心が一切描かれていないこのVoodoo Dollの世界が、私はとても美しく尊いものだと思っています。

なんと綺麗なことでしょう。なんと、残酷な事実でしょう。

 

この曲の言葉を見ていくと「君のためにこんなことするよ」「自分はこんなことも厭わないよ」という献身の言葉の羅列なのですが、隙間隙間に人間らしさ、その人の苦しみの感情が、厚い雲の切れ間から差し込む光のように見える瞬間があります。

「どうか僕から離れるのだけはやめて」とか

「誰も知らない僕の悲しみは チクタクチクタク すべて消えてしまえ」とか。

気丈に人形として振舞おうとする人間の痛々しさと、隙間にきらめく人間としての生々しい感情に、私の心は動かざるを得ません。正直、真剣にこの曲を聴けば聴くほど、人間として生きていけなくなるような、そういうエネルギーを持った曲です。良かったぁ…日本語の曲じゃなくて。ダイレクトにここで歌われていることを理解できてしまったら、私は日常生活送ることができないんじゃないかってぐらい、破壊力があります。

 

さてここは1つ、対比する点として「何もかも捧げよう」という言葉(これはOn/Offの日本語バージョンの一節)で考えて終わりにしましょう。

 

VIXXのVoodoo Dollには直接「何もかも捧げよう」という言葉は歌われていませんが、それと同等の意味を持つ言葉が出てくると思います。

この曲の「何もかも捧げよう」には未来がありません。ここがこの言葉を吐く人間の終着点。ここでこの人物の人間としての人生は終わります。感情を放棄して(苦しみが無くなるのを願って)人形になろうとしている曲なので。未来がないこと。これが1つの特徴。

もう1つは「喜びの不在」ということ。「何もかも捧げる」というのはあくまで第一の望みである「彼女が自分に笑顔を見せてくれる」「彼女が自分のものになる」が叶わない上での行動。この人物の本意ではあるけれど、こんなことしなくても願いが叶うのならばとっくに叶ってほしかった。そんなある種の「苦々しさ」みたいなものが織り交ざっています。つらいです。

最後に「自分を顧みない献身」ということを挙げたいです。内省的じゃないんです。その段階をとうに過ぎたというのでしょうか。自分がこんな自分だったら。という過程を終えて、いわば「最後の最後の曲」なのです。自分がこんな素敵な自分だったら彼女は振り向いてくれるということを考えても何も変わらなかった結果の話なので「仮に自分が」という思考がなくて、ひたすら、君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君君の状態なのですね。Voodoo Dollの「何もかも捧げよう」にはもはや自分を否定する言葉すらない。すごい。

 

ということで、今も昔も、この曲を知ってからこの曲が私は大好きです。

あ?MVがグロテスクだって?なんかきわどいメイクしているビジュアル系アイドルでしょう?だって(誰も言ってません)おま、歌詞を見てから言えや(だから誰も言ってませんって)といつも思っています。

恋は盲目。きっと私が盛り上がれば盛り上がるほど、この曲にとっては良いことにならないのでしょう。そんな気がします。しかし、約5年前に人間であることをやめる献身の物語が歌われていたことは、いつまでも私は覚えていると思いますし、世界は綺麗なんだなー残酷だけれど、と思うことで今も生きることができます。世界は綺麗だと思います。この世界には自分の知らない世界がまだまだたくさんある。

そして気高き献身の物語が美しいと思うことと、献身や執着が他者にとっては異質で脅威となることは矛盾しない、ということもここに記しておきます。ストーカーは、ダメ。絶対。

Vixx 1集 - VOODOO (韓国盤)