根津と時々、晴天なり

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【ドラマ】金曜ナイトドラマ「dele」感想

ドラマ「dele」を見ています。

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 言いたいことは、これに尽きる。

正直細部に注目しすぎるあまり「死後、依頼人の願いに則って不都合な記録を消します。それって本当に消すべきことなの?消していいの?依頼人の願いは尊重されるべきなの?べきでしょ?」といったドラマの主題を咀嚼しきれていないきらいがある。それはまずい。しかし、細部が良い。細かい描写がお洒落で素敵。だからどうしても注目してしまう。

 

第2話でよかったところは、頑固でこだわり屋、愛想が無くてクールな圭司(山田孝之)が好きなガールズバンドについて饒舌になるところ。めちゃめちゃわかる…。確かにあの瞬間目の色が変わったし、「やばい」とか、良さを言語化できなくてありきたりな表現になってしまうあの感覚、すごくよくわかる。やばい。

 

第2話のキーワードは「葬式」だった。

葬式をあげてほしくない。エンディングノートに書き残した依頼人のメッセージを見ながら、祐太郎と圭司は会話する。圭司は「葬式はあげてほしくないな」と言っていた。わかる。わかるけれど、死んだ後のことだし葬式は生きている人のためだから私はどちらでもいい。依頼人が葬式をあげてほしくない理由は、物語中にきちんと明かされていた。圭司が葬式をあげてほしくない理由は何だろう。祐太郎は?きっとそのあたりは、今後の物語で明かされることになるだろう。

 

私の好きな小説に、宮部みゆきさんの通称「杉村三郎」シリーズがある。その中に出てくる元刑事の探偵さんの話を、私は思い出す。確か刑事から探偵になったのは「事件が起きてからは遅いと思ったから」だった気がする。事件が起きる前に自分は人を救いたいのです、と。確かそんなことを言っていた気がする。

私も同じことを思う。ドラマ「dele」では、あくまで依頼人が死んでから(というかスマホやパソコンが一定期間操作されなかったら)圭司の元に知らせが来る仕組みだ。そして祐太郎が死亡確認をとる。亡くなっていたら依頼人の願い通りにデータを消去する。

ということは、物語のスタート地点は大概「人が亡くなった後」というわけだ。それは物語の設定上当たり前の避けられないことなのかもしれないが、私はすごく残念だ。とりわけ、消去したいデータから依頼人の人生が浮かび上がってきてそれをなぞる物語だから一層のこと。依頼人さんには、生きていてほしかったなぁと思ってしまう。(今のところ)

というモヤモヤを、第2話では依頼人自ら言葉にしていたので(良いシーンだった)私自身はなるべくその言葉を大切に実践していこう。死んでからは遅いのです。

 

ドラマ「dele」は脚本も素敵だと思うし、この言葉がつながるのかーという快感みたいなものも得られる。音楽やそのタイミングも見事だと思うし撮り方もどことなくドラマというより映画みたいで、場のなぞり方、視点の追い方とか結構手に汗握る。

私はすごく好き。私の地域では金曜日に見れるものなので、毎週の楽しみが1つ増えて嬉しいです。

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