今年もやります。あくまで今振り返ってみたときに印象に残った本、というカテゴリで。名作は名作、好きな作品は好きな作品というカテゴリがあって、それとは別、かもしれん。
今年は110冊いくかいかないかという読書量だったのですが(近年だと一番少ない)これは嫌味でもなんでもなく(本を読まない人からすると「そんなに読んで?」と思われるかもしれないが)「すくねえ!!!」と愕然としてしまったところがあって。別に、読書量がすべてでもなければ人間の価値でもなく(つーか人間の価値とか知らんがな)むしろ一冊一冊を丁寧にじっくりと大切に読む方がいいのでは?と思っている一方で、この世にはまだまだ自分が読んだことのない本があるのだと思うと、自分は一年でこれしか読めないのかと思うと、まあ、わくわくするのと同時に落ち込みます。読みつくせないほどたくさんの本が刊行されていて本当に良かったなあ…。
1. レティシア・コロンバニ『三つ編み』
1月に読んだ本なので遠いと言えば遠いけれど、この本良かったなあと思って、その気配がいまだに残っている。これは三人の闘う女性の話なんです。タイトルの「三つ編み」そういうことね!となりますので最後まで読んでほしいし、巡り巡るのだと考えれば日々の一つ一つの行動も疎かにできないなと思った記憶。
2. 江國香織『ホリー・ガーデン』
図書館で借りて読んで、買ってからもう一度読んだ本。なんだろうな、ただただ、だらーんと日常が過ぎていくけれど何かが変わっていくというのが好き。あと主人公の一人、静枝さんがストイックなスイマー(高校教師)なのが好き。それ以外にも好きなところはたくさんありますが。
3. デイヴィッド・ミッチェル『ボーン・クロックス』
『ボーン・クロックス』面白いよう(2日目) https://t.co/Z9nW0ocEL1
— 治野 (@harunote2016110) 2021年6月4日
誰か私に『ボーン・クロックス』を買ってくれええええ(できれば書店様でラッピングしていただきそれをそのまま私にください)税込5,390 円です
— 治野 (@harunote2016110) 2020年9月8日
当たり前なんだけど、自分が自覚している欲しいものは私が買うのが一番外れなく、私が買わないと誰も買ってくれないのでもちろん私が買いましたけど、5390円の本を買うのもなかなかよね。後悔はしてないです。いっぱい読めばいいだけなので。いや、むしろ読まなくてもいい、すぐ手に取れるということが大事なのだから。
4. アマル・エル=モフタール、マックス・グラッドストーン『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』
難解な表現も多いし、彼女たちの世界について描かれていないところもたくさんあるのだけど「敵対するエージェント同士の文通」に胸が熱くなるばかり。言葉を信じる、大切にする、誰かとのささやかな交歓、その喜びが静かに体に広がっていく感覚が好きです。
5. アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』
自分が変わっていくことが怖いと思うし、自分の頑なさが誰かを傷つけてやしないか怖い。色々と考えさせられる作品です。あと、表紙が最&高。
6. 李琴峰『星月夜』
最近読んだからというのもあるけれど、これはタイトルが素晴らしい。「ほしつきよる」と読むのだけど、そう読ませるタイトルで良かったな、タイトルって大事だなと思った作品。表紙も素敵。小説にできることって本当に様々で、『星月夜』みたいなこともできるし、『星月夜』という作品はそれ以外にももちろん読める、というところが小説って感じがしていいのです。私たちは問題を解決しなければいけないというのも思うし、なかなか感想が難しいのですが…。
7. 村上春樹『辺境・近境』
こちらも最近読んだから、というのが一つ。あともう一つは旅の記録ということについて。トラベルログというやつについて考えることがあったので。言語化すること。そこから何を見出せるのか云々。その辺はうまくまとまっていないので書かない。村上春樹のエッセイは読むのに小説は何故か読んだことがない(短編は二、三冊ある)。不思議。いつか読むのか、読まないまま終えるのか。
でもこうして改めて振り返ると、そのときそのときで思い出深い本があるわけで、その事実に「なんと嬉しいことか」と、変な表現ですか感謝というか感動します。生きていれば本に出会えるのね、と。
私にとって「本」について語るということは、他のものやことよりも少し難しく、それは私という個人と読む本の関係性が近いことによる危機感や緊張感ゆえですが、でも誰が何と言おうと私にとって思い出深い本はあるのだと、それは認めていいのだと、私は思うことにしています。好きに読ませろ!(別にあれを読めだ、これは読むなと言われたわけではないですが…)
来年も素敵な読書生活を。