根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

【音楽】『もう恋なんてしない』がわからない

 私にはわかりません。

 

 件の歌詞。

もし君に1つだけ強がりを言えるのなら

もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対

槇原敬之『もう恋なんてしない』)

 

 考えていきます。

 まず文章を二つに分けます。ターゲットは後半。「もう恋なんてしないなんて言わないよ」(「絶対」についてはちょっと置いておく)。これは二重否定であることがわかります。「もう恋なんてしない」なんて言わない。ざっくりまとめると「恋をしないとは言わない」。歌詞全体を読むと「(恋人と別れてめっちゃ傷ついたけど)自分は、恋をしない、ってわけではないよ」という意味だろうか。ふーん。

 では、次。前半。「もし君に1つだけ強がりを言えるのなら」。強がりは「弱みを見せず虚勢を張ること」だと思うので、基本的に強がりで言っていることは、建前であり嘘に近いということがポイントでしょう。ともすれば、先ほど考えた後半の、

「(恋人と別れてめっちゃ傷ついたけど)自分は、恋をしない、ってわけではないよ」

を元恋人に強がりで言うよ、ってことですか? ああ、そこまで切り分けてようやくわかりました。そりゃあ、失恋した後に「いやいや、傷ついたけど恋をしないなんてことはないよ。君のことを忘れてすぐ次の恋に行くよ」という発言は虚勢に聞こえますね。なるほど。

 私が混乱したのは、「強がりで言うよ」の内容がどこまでなのかということでした。

 「彼女に1つだけ強がりを言う機会があるなら、他に言うことがあるなかで少なくとも「もう恋なんてしない」は絶対言わないよ」という意味だと思っていたのでした。「もう恋なんてしない」は強がりには該当しないから(つまり本音に近い)そこに「絶対言わない」が付いてくるのはわかるけど、それを歌って意味あるのか? と思ってたのです。でも、「強がりで言うよ」の内容は「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」全体なんですね。なるほど。ったく、面倒な奴だな。もっとストレートに言えよ(まっすぐ言えないところに、「ぼく」が受けた恋のダメージと素直になれない感じが表れているのであり、その難解さこそこの曲のスパイスだ、というのはわかってます)。

 ここまで考えましたけど、忘れやすいから結局なんだっけ? となっています。で、恋するのだっけ? しないのだっけ?

 面白いのは、この曲の根幹となるフレーズの意味がよくわからないのに、それ以外の歌詞で失った恋への未練たらたらであることの状況証拠がコツコツ積まれているので、なんとなく文意がわかっちゃうってところです。この曲の英訳があれば読んでみたいなー、この面倒くささ、どうやって訳されるでしょう。訳すことは可能なのでしょうか。

 

 そこまで考えてやっぱりわからなくなってしまいました。結局もう恋なんてしないってことですか…ね。そうだよね、そうです? ってことはこの曲はタイトルが秀逸なんだなー、すごい。

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