根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

I listened to seventeen's song in the pool

 時々プールで泳ぎます。なんか英語のテキストみたいな文だな。I sometimes swim in the pool. 

 まあ、とにかく、私は時々泳ぎます。理由は私がたまたま泳げる人間だからで、例えばテニスができればテニスをするだろうし、バスケットボールができればバスケをするだろうし、トランペットが吹ければトランペットを吹くだろうと思うけど、できることがそれしかないので私は時々泳ぐ。泳ぐことはいいストレス発散になる。そしてめちゃめちゃ疲れる。

 室内プールでは音楽が流れていて、一旦水の中に沈みこめば何が流れていようが気づかないのだけど(水中でも音楽が流れるなんてそんなハイテク設備ではない)気にせず邦楽が流れ続けている。ビート板でキック練習をするときは頭が水の上なので存分に音楽を聴くことができる。

 25mプールをちょうど行って帰ってきたところで、たらららららー、と見覚えのあるイントロが流れた。思うのだけど、多分この世界の80パーセントくらいの人間は自分のことを「イントロクイズが得意な人間だ」と思っている。御多分に漏れず私もその中の一人で、私はイントロ当てが得意なので(自称)すぐにわかった。

(これは余談だけれど、イントロクイズが強いかどうかってのは「どれだけの曲を知っているか」に大きく左右されるのではないかしら)

youtu.be

 あらまあ、せぶちだ。少し心を落ち着けて聞き入る。・・・。やっぱりせぶちだ。うーむ、久々に聴くけどやっぱり良い曲。そうだよな、これ日本語のオリジナル楽曲だもんなあ…最近の曲ではないからこの選曲は謎だけど…、なんて鑑賞モードに突入してしまった。

 プールで『舞い落ちる花びら』に聴き入る人間はそんなにいないのではないか。つまり、プールに流れるそれが『舞い落ちる花びら』だと知っている人がいるのかということ。もちろんcaratで水泳が趣味のおじさまおばさまお兄さんお姉さんはゼロではない(現にここに一人)。水中ウォーキングをしているおばさまが「あら、この曲いい感じじゃない、どのアーティストかしら」なんて興味を抱いてそのままCaratになる世界線も否定はできない(ただしプールに持ち込めるものは限られており、あとで曲を調べようにもなかなか難しいだろう)。ただ、そこまで確率は高くない。せぶちの曲を知っている人が、プールで泳いでいて、そのタイミングで『舞い落ちる花びら』が流れるのは、多分。

 ということで、私は感動していた。室内スピーカーからガンガン流れるせぶちの曲をしみじみと味わう。なんというか、音が大きいしそれなりに響くので、重たく真面目に聞こえる(seriousのニュアンス)から説得力が半端ない。良い曲だと思っているけど、この曲の力は自分が思っているよりずっとすごいのだろうな、ということを考えながら結局最後まで聴いてしまった。呆けたように立ち止まっていたものだから体が冷えて寒い。私は気持ちを切り替えてさっさと泳ぎ始めた。先ほどまで体じゅうを満たしていた全能感というか充実感はあっという間にどこかに消え去ってしまい寂しかった。

 

 こんな風にたっぷりと曲を聴くのは楽しいなあと思う。なんというか、情景が、状況が先にあって、それに合わせて私が曲をセレクトしていくのだけれど(今回は曲も併せてやってきた)情景や状況を意図的に発生させることはできなくて、常に私は受け身にならざるを得ない。それは僥倖なんだろうなと思う。おしまい。