根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

【雑記】「疲れ」を言語化すること

 恩田陸『灰の劇場』の中に、こんな一節がある。

『疲れたわ』

 

 暗転。

  この場面がぐるぐると頭の中を駆け回って消えてくれない。今日はあいにくの曇天だし。「灰」という言葉から引き出されてしまったのだろうけれど、まったく、困ったものである。私は鬱々とした気分になる。

 なにか明確なきっかけがあったわけではない。様々な要素が絡み絡まり合って、ここ数日自分のメンタル面について、うっすらぼんやり、地下を流れる伏流水のごとく、生活のどこかで頭のわずかなリソースを使って、コンピュータのバックグラウンドさながらに考えていた。

 そして閃く。私、「疲れ」を言語化してこなかったな?

 

 これは自慢であり自己暗示でもあるのだが、学生時代の授業中、あるいは、働き始めてからは業務中になるのだが、とにかく何かをしていて眠くなることがあんまり無い。いわゆる活動的な人間で、自分はタフだと思っていた。

 話は変わって、最近の私。最近といったら、週末出かけてた。お出かけとなると、せっかく出かけられるのだもの、欲張りハッピーセット!みたいな感じで、とにかく詰め込む、歩く、動く、無茶なスケジュールを組む。帰ればやるべきこと放り出して泥のように眠るぐらい、それぐらい遊ぶ。

 そんなこんなで肉体的な疲労の限界を何度か立て続けに経験したことで、どうやら「疲れ」とやらに敏感になったらしい。というか「疲れている」という状態がわかったらしい。疲れると体は重たいし頭は働かない。視野は狭まるし足は痛い。はやく眠りたい。お腹が空いた。自分の中に何かがパンパンに詰まっているようで、その実何も考えられない空虚な自分。これが「疲れ」ってやつなのだ。

 いまさら?と自分でも思う。もちろん今までも「くたくた」という状態は何度も何度も経験してきた。一日中ずっと遊んだ疲れの比にならないくらい、肉体的にも精神的にも疲れた日はたくさんあった。それでも「疲れた」をここまで冷静に鮮明に見つめられたときはあったのだろうか?と思うのだ。私は今まで「疲れ」を言語化してこなかった。

 

 学校に通って、あるいは会社で仕事をして帰ると文字通りバタンと倒れ込む日が、今までもたくさんあった。本当にそんな感じだった。そして翌朝になるときまって自己嫌悪に陥った。どうして昨日の自分は何もできなかったのだろう。こんなにやるべきことがあるのに、何も手をつけられていない。私ってば駄目なやつなんだ。その繰り返し。だいぶつらい状態だ。それでも慣れれば少しは余裕が生まれたし、何より日中の自分がそこそこに活動的だったので、その貯蓄で生きているようなものだった。ありがとう昼間の私。

 何に疲れていたか言語化すべきだったなと思う。そもそも自分がどれくらい疲れているのかさえ考えられなかったのだ。何も考えられなかった。棍棒で頭を殴られたみたいに呆然として、眠って、翌日回復して、また家を出るの繰り返しだったから。

 何に対して疲れるかわかってないと、対策のしようがないのだ。逆に言えば、疲れの対象がわかっていれば策を講じることができるかもしれないのだ。今になって私は気づいた。世の中に広がっているアドバイスを「はいはいわかってますよ」と流していたけど、すとんと納得できたのは昨日今日の話である。

 例えば。

 私は新しく知ったことだったり見たことについて、もう一度自分の中で言葉にし直すのが好きだ。どういう意味だっけ?とか、これ実は知っているようで知らなかったな?とか考えるのが楽しい。その為の時間が作れないと、未処理の情報がどんどん溜まっていって消化不良に陥る。全部をいちいち考え直すのは無理にしても、ある程度の量「自分の中で考えているぞい!」と思えれば精神的にハッピーなのだ。

 ただし、忙しくて物理的に時間がとれないと詰むし、時間があってもその時間を使える精神的なエネルギーが残ってないと無理。消化不良の状態が続くと、段々と病んでいく。個人的に基準としてるのが、本を読めているか、あるいは日記を書けているか、なのだけど、そうなるとそこからのリカバリが本当に面倒で労力を要するのだ。

 一日の中で少しでもゆったりと考える時間が必要だとして、そのための精神的なエネルギーが残ってないというのは、つまり精神的に疲労しているということで、じゃあその原因ってなんだ?となる。私が疲れる原因って何なのだろう。もしくは物理的に時間が作れない理由はなんだ?となるかもしれない。何かが忙しいのか、自分の時間の使い方がおかしいのか。おかしいならどんな理由で?云々。

 ということで目下、考え中である。思いついたらメモしている。

 

 疲れに自覚的である2021であるといいなと思っている。

 具体的には「今私疲れてる?」と自分自身に聞くことが癖になればいいな。

 疲れていると思った時点で無理はしない。きちんと休むことを実践できれば、そこまで深く落ち込まなくても浮上できるし、素早く浮上した分作りだせた時間で自分のやりたいことができる、ような気がする。ハッピーだ。

 何が私を疲れさせるのかも言葉にしていきたい。中には言語化するにもしんどい事柄もあるだろうけれど、そこは無理をせず。

 

 というようなことを勢いで書いていたら、あっという間に睡眠時間が削れていく。自分がやりたいことであっても無理をしては駄目ですね。さっさと寝よう。

 これを読む人もどうか自分の疲れで擦り減らないように。