根津と時々、晴天なり

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【Perfume】好奇心を持ち続け繰り返す世界を生きる/『スパイス』を聴く

 Perfumeの『スパイス』という曲を聴いたんですね。まあ定期的に聴いている曲ではあると思います。好きなので。『JPN』というアルバムがリリースされた9年前?から好きなので。

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 震えてしまう。歌詞を繰り返すことでみるみるからだに入り込んでくるテーマ。同じことを言っているのに、全然聞き飽きない。テンポが変わったり音が消えたり、様々な工夫で飽きさせないのだ。

 知らない方がいい。でもわくわくしたいハラハラが欲しい。好奇心というスパイスが日常のアクセントになる。これを繰り返し繰り返し歌い上げていく。

 Aがいい、でもBに惹かれる。

 Aがいい、でもBに惹かれる。

 Aがいい、でもBに惹かれる。

 理性と感情、冷静と情熱、論理と直感。この対立を歌っているのかなと思うのだけど、それは一例でしかない。AではないすべてのものがBになりえるのだ。同じフレーズを何度も重ねた末に彼女たちは一粒の鮮やかな飴玉を口に含む。結局Aは負けてBが勝ってしまったらしい。しかし、体が新しさに染まった瞬間に、のっちの「だけ~~~~ど~♪」が入る。

 震えません?

 ここで?「だけど」って歌うの?

 もう一歩どころか両足踏み入れてしまったその先で、やっぱり彼女たちは「だけど」と迷うのだ。

 「好奇心というスパイス」が、恒常的なものというよりは瞬間的な効果しかないということを、私はこのパートで改めて思い知らされる。好奇心自体を持ち続けることはできるかもしれないけれど、好奇心からのときめきやわくわくは長続きしない。一瞬を微妙に変化させて続けさせることはできるけれど、そのときめきは一瞬のものでしかないのだ。

 もう、切ない。切なすぎる。飴玉を放り込んで色鮮やかな衣装を身に纏って踊る彼女たちの方が、変貌する前より表情が生き生きしているんですよね。MVめちゃめちゃ凝っている。最後には、自分たちがかつて存在していた部屋にあるだろう飴玉に焦点が当てられ、曲が終わった後もこの世界は繰り返し続けられることが示唆されている。そして、この曲の歌詞や仕組みとして、ずっと同じところでぐるぐる回っているところ、好奇心のスパイスが巡り巡って何かを起こすところに繋がる。震え。真理だ…(震え)

 『スパイス』本当に名曲だと思います。シンプルで奥深い。MVは曲から想起されたのでしょうか…この曲からあの映像を描けます???描けるの???プロ、すごい…。

 

 最後にこれだけは言いたい。「Aがいい、でもBがいい」と繰り返し歌うこの曲。「だけど」が入るのは先述ののっちのパートだけ。それ以外はずっと「でも」という接続詞を使っています。ずっとずっと使わない。ここぞと言う時に、パッと「だけど」という言葉を放り込む。この潔さというか計算されているところというか、照明の当て方の上手さというか、震えます(さっきからずっと震えている)。言葉の使い方、すごく勉強になる曲です。

 そういえば、もう半年、いや、1年以上カラオケに行っていない気がする。まだしばらくは行けないですけれど、カラオケの本人映像、好きなの。

 

スパイス(通常盤)