根津と時々、晴天なり

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【ONF】希望と絶望の境界の限りなく希望の話/「ON/OFF」感想

忘れていたわけではないのですが、やはりタイミングを逸すると途端に書けなくなる。書きたいことはさっさと書いておくのが良いと、今回は思い知らされました。ちろちろと小さな灯りは点いていたのですが、ようやく書けそうです。

 

後編です。

 

ということで、これは前編・後編ということで2部構成です。記事はそれぞれ別ですけれどVIXXは今回、後半はそのうちONFを、公開することとなります。

【VIXX】人間であることをやめる献身の物語/VIXX「Voodoo Doll」感想 - 根津と時々、晴天なり

 

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ONF「ON/OFF」

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この曲そのものについては、アルバムの感想をまとめて書いたときに色々と喋ったのであんまり喋ることが無いかなぁ…と思いつつ、やっぱりいい曲ですよね~。今も大好きな曲なんです。

で、今の私の「ON/OFF」像は何なのか。この曲からどんなことを考えて、どうまとめているのかというと。

「あと一線超えれば絶望なんだろうな、でも今はまだワクワクしていて濁っていない純粋な気持ちに胸がヒリヒリしてどうしようもない」というところなのです。

 

ここで私は「彼女」たちを思いだした

ONFのこの曲を聴きながら、私は「彼女」たちをふと思い浮かべました。そう。魔法少女たちのことを、です(←え?)

アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』って知ってますか。まだ見ていない人のためにネタバレはしないでおきますが、あのアニメに登場するアイテム「ソウルジェム」を思い浮かべてしまったんですよね。絶望と希望ってきっと紙一重なんだなって。

 

希望とは、絶望を育てるもの

それではONFのこの曲はどうなのだろう。

 

実際、ONFの「On/Off」という曲のメインテーマは「コントロールできない」ということですけれど、ONFがすごかったのはそこだけに留まらず最後の最後に「何もかも捧げよう」(Japanese ver)「僕を君の男にしてくれ」(翻訳されている方の和訳をいくつか拝見したうえでの意訳)というように、愛する者への「献身」がうかがえます。

【VIXX】人間であることをやめる献身の物語/VIXX「Voodoo Doll」感想 - 根津と時々、晴天なり

なんですよねぇ…。運命の人、自分を狂わせる人、自分じゃ制御できない胸の高鳴り、そしてそこから愛する者への献身。ネガティブな描写は一切なく、「君」「キミ」に出会えたことを喜び、その喜びを疑わない。

そのまっさらな気持ちに、私はクラクラと眩暈がしてきます。根がネガティブなので、やっぱり疑ってしまうのです。永遠なんてありえない。一瞬は続かない。この喜びは、いつか消えてしまうって。

希望の曲であるはずなのに、既に絶望の予感がしてしまう。そんな聴き方ができてしまうので私はこの曲がとっても好きです。彼らが無邪気であればあるほど、わくわくすればするほど、絶望に転じたときのエネルギーは大きくなる。

希望とは、絶望を育てているようなもの。そうして育った絶望のつぼみが花開いたときの様子はきっとONFのコンセプトとしては描かれないのでしょうけれど、ちょっと知ってみたい。へへへ(何せVIXXの兄さま方に鍛えられているもので)。

 

僕を君の男にしてくれ

そしてこのフレーズ。すごすぎる。よく歌ったなって思っています。

じゃあ自分に聞こう。何故私は「よく歌ったな」って思うのだろう。

それはやっぱり、男性が女性をリードするもの、という固定概念があるからなのでしょうか。プロポーズは男性から。男性が女性を引っ張り上げるから。男性が女性に積極的にアプローチするから。女性はそれを受ける立場だから。女性は、男性は、

・・・。は。つまんない。

いざ言葉にしてみると、こんなにつまらないことなのですね。

「よく歌ったな」じゃねーよ。何言ってんだよ。どう思うかなんて人それぞれじゃん。そこに男はこうしないといけない女はこうしないといけないなんて馬鹿みたいじゃん。

ということで、この短いフレーズで現代社会に蔓延っているジェンダーの役割を炙り出したという意味で、とてもすごいフレーズだなと思いました。

実際このフレーズが似合うのは誰なんでしょうね。誰も似合わなそうでそれも面白いです。ヒョジンは似合いそうだけれど(私の勝手な想像です。むしろ似合ってほしい)。

 

ONFの「何もかも捧げよう」は

VIXXの呪いの人形については「未来がないこと」「喜びの不在」「自分を顧みない献身」ということを挙げました。それではONFの「何もかも捧げよう」には何があるのでしょうか。

まずは未来があります。これからのことをとても楽しみにしている。君に出会えてワクワクしているし、僕は君にコントロールされることを肯定的に捉えている(肯定的?)気がします。別に君と僕の関係をどうにかしようとも思っていないし、近づきすぎず離れすぎず。なんだかこの曲の「僕」はとても健康的というか素直な人なんだなぁ…。

そして面白いのは「僕を点けたり消したりする、スイッチみたいな存在」が君で、じゃあ僕は君を照らしてあげようって言ってしまうところ。単純に自信がないやつなのか、って思っていたらそうでもなく、この「僕」はなかなかやりおる人間です。自意識があまりないというか。そこが「呪いの人形」とはちょっと違うところなのかな。

ということで「自分を顧みない献身」というのもあまりないですね。あくまで自分のままで、さらに君のために自分を輝かせよう、と言っているぐらいだから。自分を切り離していない。

 

いやはや、同じような「僕を捧げよう」でも曲によってまったく違うのだな、ということが楽しめて良かったです。人の感情とは本当に面白い(←誰発言)。

多分、ONFの「ON/OFF」は「報われない」という経験がまだ存在していないのです。君にこれから尽くしていこう、それが自分の喜び、という状態で留まっているから。だけれど、ここから物語が進んでいってハッピーエンドになればいいけれど、君はちっとも振り向いてくれず、自分が尽くしてきたことはなんだったんだと己に問いかけたとき、「僕」が「報われなさ」を抱いてしまったら。きっと「僕」は「呪いの人形」になるんですよ。へっへっへ。

 

「僕」が幸せな人生を送ることを祈っております。

初々しくて素敵な曲。

ONFが次の一手を打ってくれる日をとても楽しみにしております。(意:早くカムバックしてくれ)

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