根津と時々、晴天なり

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【読書】雨宮まみ『自信のない部屋へようこそ』を読んで

 雨宮まみさんの『自信のない部屋へようこそ』を読みました。

 

 

 雨宮さんの本を感想として取り上げるのは2冊目ですね。

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 私が「感想文」を書く基準は明確なものが特になく、タイミングと気分によって大いに左右されます。強いて言うなら、自分の中でもっと深堀したいな、ということぐらいか。掘り下げることも面倒ではあるし。読んだ本すべて感想を綴りたい気持ちはあるにはあるけれど、どうにもしっくりこない本もあるので難しそうです。

 

 

 さて、今作は雨宮さんの「自信のない部屋」にまつわる様々なものを取り上げたエッセイ、です。印象に残ったことをまとめます。

 

 

インテリアにこだわらない私

 まずこれですね。私自身はあまりインテリアにこだわりがないようで、ある程度の機能性と統一感があればいいんじゃないか?というぐらいの思考の持ち主。自分が持つものや着るものに関しては底知れぬこだわりを披露するものの、家具だとかラグだとかカーテンだとか「大きなもの」かつ「部屋に固定されるもの」は興味がないようです。

 

 この本を読んでいて感じたのは、2つ。

 1つは「雨宮さん自身の嗜好」、もう1つは「自身の部屋が他者からどう見られるか、という客観的視点」。私の場合、前者はとてもよくわかるけれど、後者はわかりにくいのだと思います。

 「雨宮さん自身の嗜好」については、「自分はこういう生活が送りたいんだ」「こういうものに惹かれるんだ」ということを見つめるところが印象的でした、日々に忙殺され、そういうところがおざなりになってしまうところ。そういう自分がなんとも貧しい様に思えてくるところ。「好きなものに囲まれる、自分の理想を叶える」ってのは実はそんなに難しいことじゃないのに、忙しさと惰性に身を任せるあまり、失われていった時間の積み重ねたるや…。そういうものへの雨宮さんの強烈な後悔を感じるとともに、そこから「こうしてはいられんぞ!」と色々と考えながら、ゆっくり生活を組み立てていくところは素敵だと思いました。私はあまり後悔をしないようなので「ああ、自分なにやってたんだ!」というところから「そういうことに気がつけてラッキーだよね!よしこれから好きなもの集めていこう!」ってな感じになるのは、ちょっと雨宮さんと違うかも。そんなに落ち込まなそうです。そもそも、理想に対する強烈な執着心というか「是が非でもやっていこう、叶えていこう」みたいな気迫がまるでないし。そんな気迫がなくても、そんなに頑張らなくても、単なる方向性みたいなものだからゆるゆるやっていけばいいんだよ~的な思考は、割と良いものです。これからもそういう感じでやっていこうと思います。

 そんなに追い込まなくていいのだと思います。生活が彩るのだ、ぐらいの心意気で、心惹かれるものを集めたり手放したりすればいい。私も無駄な服を捨てるときは、とても罪悪感に襲われたな、確かにあんな思いはしたくないな、って思いつつ次何買おうかなと考えている自分にも気がつくし。無駄なものを買って大して使わなくて、それを手放すとき、雨宮さんは特に強烈に後悔を感じていたのかな。

 

 あとは、私は人のこだわりを知るのが好きなので、雨宮さんのこだわりも自分とは相いれなくても読むのが楽しかったですね。「タオル」の話とかは「なるほど!」って思いましたし。なるほどね~。あとは、ライティングビューローについて調べました。調べたら「西洋版文机」みたいなイメージ。物を書くことが様になる机なんて…。ちょっと欲しい…。私もこだわりたい。(←あれ?)

 

他者を招く部屋

 印象に残ったこと2つ目。「他者から見られる視点」の話。

 雨宮さんは、自分の部屋にもっと友だちを気楽に誘えるようになりたいなぁ、と思っていたようです。雨宮さんによれば「部屋の扉は心の扉」。彼女は、他人に自分の部屋を見せることが全然できなかった、と本の最初のほうで言っていました。だからか、他人が見る自分の部屋をできるだけきちんとしていたい、自分が思い描いていたようにしたい、と思われていたのでしょうか。

 私は?といえば、そんなに他人から見られることについて考えなくてもいいんじゃないか、って思ったのです。部屋の扉を開けた時点で、他者に対してはある程度心を許しているってことじゃないですか多分。それでもう十分ではないのかな、って。いや違うな…そうか。部屋の扉を開けるくらいきちんと「自信を持った部屋にしたい」ってことなんですね、きっと。せめて「自信がある部屋」であれば、部屋の扉を開ける勇気をもてるかも、背中を押してもらえるかも、ってこともあるのかもしれません。

 ただ、本を読んでいるとわかるけれど、「自信が持てる部屋」になるように、身のまわりの色んな人に「これってどう思う?」なんて聞いて、自分にはこういう縁があったんだなって気がつくこと、それ自体が、雨宮さんが部屋の扉を開くことを後押しすることにつながるような気がしました。

 「人を招くことができるように素敵な部屋にしたい」という過程のなかで、実は招くことができるような人たちに恵まれていたんだな、って気がつく雨宮さん、みたいな。

 いいな~そういうの、と思いました。

 

 こんなことを考えると、他者からどう見られるか、という視点は悪いことばかりでもなさそうです。過度に気にすると強迫感があって苦しくなるでしょうけれど「人からこう見られたいんだ!」と自分改革へと向かうエネルギーにもなりそう。私も、もう少し「他人からどう見られるのか」ってことを気にした方が良さそうだ、と思いました。

 

 

 こだわりって、面白い。

 そして、生活って難しい、と思いました。

 こんないちいち考えるの、大変だって。負担にならない程度に生活について考えるのが良さそうです。

 

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