根津と時々、晴天なり

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【VIXX】ソースをかけずにとんかつ食べる感じ―VIXX「Fantasy」MVを愛でる

 私はメロディが気に入らない曲は一切聴かない人間だけど、繰り返し聴くのなら「歌詞が好き」というのは、絶対条件だ。歌手は、アイドルは、インストを披露するのではない。音に言葉を乗せるのだ。だからね、何が言いたいのかというと、その人がその言葉を口にする(つまり歌う)ということそのものを、もっと考えてみてもいいんじゃないかなって思うんです。なんで歌詞があるのだろう、と。音楽だと言葉遊びみたいな要素もあるのでなんとも言えないのだけど。

 今回のVIXXの新曲は、ある意味で「歌詞が好き」という曲です。

 VIXXがカムバしました。ほんとうありがとうございます。今日は思う存分語ります。

 

 VIXX「Fantasy」

 VIXXが2016年の一年をグループとして活動する年だとし、神話3部作ということで年間コンセプトを提示しました。「Fantasy」はその2曲目。アルバム「Hades」はその2作品目。

(2016.8.16加筆→)「Hades」がアルバム名。「Fantasy」はそこに収録されている曲。他にも、インスト合わせて3曲、計4曲が収録されている。韓国独特の音楽番組での活動は、主に「Fantasy」でパフォーマンス。

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 意識しているのか違うのかわかりませんが、最年長組のエンとレオが今年で26歳(韓国だと+1歳で27歳?)。韓国男子の宿命、兵役を視野に入れるとあまり悠長にしていられない年齢になりつつあります。ここで勝負に出たのか、じぇりぴ(Jellyfish ent VIXXの所属会社だ。ジャニーズエンタとかそういうものだと想像してもらえれば)という印象です。VIXXの面白いところの1つに、これまで発表した曲をつなげることの面白さがあると思っています。そこから見えてくるものってなんでしょう。本題に入る前に軽く。

 

VIXXの総決算

  私は今回の新曲「Fantasy」を、これまでのVIXXの総決算、と感じています。これまでの曲1つひとつがきちんと意味があると思うし、そもそも個々のメンバーの実力があがってうまい具合に調和されている感じです。

 

dorian19.hatenadiary.jp 

 ここでも書いたけれど、VIXXは曲1つひとつに明確なコンセプトを作っているグループです。デビュー間もない頃はそうでもないけれど、2013年以降は明確に「今回の曲は○○をコンセプトにしています」と言っているように思います。(「奇跡」は微妙かもしれないけれど)

 私はそういうところがVIXXの好きなのですが、しかし大衆に受け入れられるかといえば話は別です。大して業界のことを知っているのか怪しい私ですが、抱く印象といえば「VIXXはマニア向け」という感じです。特に2013年の3曲はミュージックビデオはもとよりステージパフォーマンスが異彩を放っているように思えます。メイクといい衣装といい。その「異端さ」は、引っかかる人は引っかかるけど逆に敬遠する要因にもなったのではないかと思います。素はめちゃめちゃ素朴で背伸びしない若者たちなのにね。

 だからそれ以降は、いかに大衆に受けるか?ということを意識しながらのリリースでした。「奇跡」や「Dynamite」は、VIXXの活動曲の中でも軽めでキャッチ―な感じがします。特に、「Dynamite」は成功だと思うなぁ。いい曲や~。「Error」はもう少しコンセプトを濃くしようと思えばできたけど抑えた印象で(特にステージ衣装とかね)「Chaine up」は久々に様子がおかしい(←失礼)「チョーカー」「きわどいスーツ」という衣装だけど、あれも曲は案外明るいんですよね。

 という感じで、ここまでを振り返るとそれぞれの曲を位置付けることができるのではないかと(勝手に)思っているわけです。それも結果論でしかなく、きっとこれからも新しい曲が出されるたびに変わっていく定義づけだとは思いますが。でもさ、1曲1曲に意味を見出せるグループって珍しくありません?それだけVIXXはコンセプトを明確に決める段階で練られた構成とかはあるんだろうなと思うんです。それゆえなんですよね。

 

 話は「Fantasy」に戻して。総決算だと思った点をポイントに分けて挙げてみます。

 

・派手なメイク・ヘアスタイルで強調するよりは衣装に凝るようになった?

 「Error」までは人ではないものをイメージしていて、メイクやヘアスタイルも趣向を凝らしたかなり濃いものでした。それが、「Chaine up」で愛の奴隷になってからメイクよりは衣装を統一したり工夫している気がしています。カギとなるアイテムを使うようになったのも、このころからか。(あ、でも「呪いの人形」でも杖をふりまわしてたか)つまり、メイクが薄味になりました。よかったよかった。

 なんとなくそれは、以前はとんかつのソースにこだわっていたのが、次第にとんかつ自体にこだわるようになり「それ、ソースなんてかけるなや!そのまま食べなはれ!」と息巻く定食屋のおっちゃんみたい。まあ、それにしても他のとんかつよりもだいぶ味が変わっているとんかつであるのは間違いないけど。

 いや、何が言いたいのかというと、強烈なコンセプトであることに変わりはないけど、パフォーマンス自体を見るとごてごてしたものが付いてないな、って気がするんです。ギミックがないというか。自然体で勝負!ってのを感じたのであります。それって、これまでの経験があったからだと思うんですよね。それぞれができることが増えて吸収したものもあってのそれだし、事務所的にもこれまでの曲の反応とかも分析した結果だろうし。

 

 他にも

・パートの割り振りがより多彩になった

・これまでで一番激しいダンス

・生歌の安定感

なんかがあります。VIXXといえば、ミュージカルを見ているような、個が全体のパーツのようなダンスが多かったけれど、今回はそういうのはあんまりない。振付師を変えて、みんなで踊るダンスになった。(だから群舞で全員ぴっちりと踊るダンスとしてみるなら物足りないかも。合ってはいるんだけど、やはりそれぞれ個性あるダンスしているから)生歌は音楽番組活動がこれからあるので微妙だけど、Vアプリを見る限り音源を流しているとはいえ結構歌っていて、ほんとすごいなぁと思いました。ダンス終了後の息切れがハンパなかったので、相当練習しているとみえる。Dynamite期から感じていました、そこそこ歌唱力が確立してきた感じを引き継いでいる。

 

 ということで、これまでの曲があっての、この「Fantasy」なのだと思って、ありがたく何度も聴くことにします。私は待ちきれなくてiTunesで音源公開が0:00だったら、0:05くらいには買ってました。これは今までで初めて。以降、ここまでほとんどこの曲しか聴いていません。なのでMVが公開されても新鮮さは全くなかったですね(笑)

 

 じゃあ、ついにミュージックビデオを堪能するとしますか。

 

VIXX「Fantasy」ミュージックビデオ

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 初見感想

 意味が分かりません

 

 どういうことなんだろうか・・・一体。

 

4月に発売されたアルバム「Zelos」では“嫉妬と競争の神、Zelos”をモチーフに愛を奪われた一人の男性の嫉妬を VIXXだけのビビッドな雰囲気 で再解釈して披露したことに対し、今回のアルバム「Hades」は“暗黒世界の神Hades”をモチーフに愛する彼女の心を掴むため愛の妙薬を探しに暗黒 世界へ向かう奇怪な姿を描いている。

http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2050565

 

らしい。愛の妙薬なのね。知らなかった。

前作「Dynamite」の世界を引き継ぐならば、愛を奪われた男=えねねん、愛を奪った男=レオ、えねねんと共に愛を奪った男レオに奇襲をかける者ども=その他4人、ですけども、えねねん以外はもしかして役割変わっている?そもそも別の話?それも視野に入れながら考えないといけませんね。にわかに調べた情報をまとめてみましょうか。

 

 Hades(ハデス)はギリシャ神話の神。オリンポス12神には入っていませんが、ゼウスの弟、妻はぺルセポネ、彼は冥界(死者の世界)の神様らしい。

 ハデスさんは、地上に出てきた際に、コレ―さんという女神様を一目ぼれするのですが、彼女はその母親であるオリンポス12神のデルメルさんの娘らしくデルメルさんは大反対。その反対を押し切って彼はコレ―さんを冥界へと連れていってしまい、デルメルさん(# ゚Д゚)おこ、で「季節」が誕生するエピソードへつながるのですが割愛。ライブではこのあとのエピソードで用いられる柘榴の実とかも演出で出たとか。コレ―さんが名前を変えたのが「ぺルセポネ」らしいっすね。で、VIXXの話に戻そう。

 

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 ここから考えると、えねねん以外は全員役割が新しく変わっている印象を受けますね。私はここで、仮説としてこんな風に挙げてみます。

ラビ=ハデス、えねねん=愛を得るために放浪するもの1 レオ=過去に放浪したもの2(そして妙薬を得てえねねんから愛する人を奪った)ケン=冥界へ誘う者(ハデス側) ヒョギ=冥界へ行くのを阻止する者 ホンビン=そそのかす人(ヒョギと対立軸?ハデス側)

 

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 ここのシーンがわからない。レオとえねねん?ぽいけど、そうなると私の予想は崩れる。2人は同じと考えた方がいいのか?

 

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 これ、gugudanのキムナヨンだよね!?そうだよね?違うかな。二人の思い人の面影がここに現れているのだろうか。

 

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 ヒョギからえねねんに渡されるこの紙はなんなのか。冥界への切符?

 

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 個人的にこの掛けあいがとても好き。ヒョギとホンビン両方でえねねんを惑わせている、言いきかせている、そしてつながるえねねんのパート。歌詞がまた決意めいて完璧なシーンです(笑)

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 冥界へ渡るのは、舟なんですよね確か。だから違和感はない。しかしなぜ2人が乗っているのか。

 

 

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f:id:dorian91:20160815233632p:plain ケンちゃんが白いドアに誘導しているのは一目瞭然。白いドアを冥界へつながる扉、としましたけどどこへつながっているのでしょうか?ハデス様がいる場所でしょうか。

 

 

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 一番好きなシーン。えねねんが客人、それに相対するのがやはり王であるラビでしょうか?

 

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 そして、えねねんはヒョギを振り払うと。ここで、ケンとヒョギは違うんですよね。誘う者と止める者。えねねんは扉の先へ向かうと。

 

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 空港の金属探知機みたいな装置ですけども。レオとえねねん。これが意味するものは?

 

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 愛の妙薬を作っているのは、ラビでありホンビンも途中で試験管に羽を入れていたし(衣装的にホンビンと判断)しかし二人を監禁する意味はあるのだろうか?血が必要とかそんな感じ?

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 ここも意味が分からない(><)次回への伏線だろうか?ここでラビ以外がマスクをつけていればそれほど違和感を持たないんだけど、ラビも一緒にマスクをつけることで、ラビ=ハデス説が揺らぐのである。

 

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 雨に打たれるチャ・ハギョン。コンセプトムービーにも真っ黒い傘と雨ってあったけど、雨に打たれるって意味深い。

 

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 レオが新しく冥界の王になったとか。

 

 さっぱりわかりません。このミュージックビデオ。キーアイテムの1つ「Evil Eye」(手のひらの目)は一体何。どこでどうやって授かったのか。もう少し、えねねんとレオの手のひらに注目するとわかるかもしれませんな。えねねんだけが設定を引き継いでいるのか、レオも設定を引き継いでいるのか、定かでないし、本当に勝手な推測を並べてみました。

 いやはや。ミュージックビデオって必ずしも理路整然と何かが提示されているとは限らないと思うんすよ。視聴者にわからないような意味も込められていると思うけど、見る側の暴走した解釈だってあると思います。それが面白いのだし。だからこれでおしまい。

 

最後に:Fantasyの歌詞

 冒頭で、私はこの曲の歌詞が好きだ、と言いました。本当にいい歌詞だと思います。 ネットで探せば和訳していらっしゃる方がたくさんいますが、On and Onを彷彿させるような、情景と心情を織り込んだ歌詞です。前作Dynamiteで「彼女が俺から去った、今日は自棄になっちゃうぞ♡世界をぶっ壊したいぞ♡」と明るく語ってたのは一種のハイ状態で(笑)今作のそれからの落ち込み具合が引くレベルでヤバいです。そうだよね、テンションが上がるとあとは下がるしかない。

 幻想よ、僕を救ってくれ。

 それは僕の幻想だった。

 2つの幻想があるのかな、と思います。前者は救いとして新たに構築する幻想。愛する者は自分から去り、その事実を受け入れられない自分が作る幻。僕はずっとそこで生きていたい幻。後者は、彼女は自分のものになるはずだった。彼女が一番の人だった、というかつての幻想。結局それは幻想だから壊れたわけですが。だから幻想と幻想の狭間を歌う曲なのかな、と。その瞬間が一番正気で苦しい。そのどん底を歌っているとすれば、そのエネルギーがガツンとくる理由はわかるかもしれない。そして私がこの歌詞を好きな理由も。

  

 お見事。強烈だけど上品なVIXXの活動がこれから楽しみです。早く音楽番組でのパフォーマンスが見たい。