根津と時々、晴天なり

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【漫画】一人の楽しみ方/『ワカコ酒』を読む

 新久千映さんの『ワカコ酒』12巻を買いました。

ワカコ酒 12巻

 一巻も買っていないのに、本屋さんにあったのが12巻と13巻で、13巻はどうやら季節は夏っぽかったので冬の12巻にしました。そういう半端な巻を一巻だけ買うの、結構好き。それまでの巻も買わないし、その先の巻も買わない不思議な買い方…。

 『ワカコ酒』ってのは、26歳の村崎ワカコさんが夜な夜な一人飲みする話。ただひたすら食べて飲むだけ。一回の話は短く軽快に美味しそうな食べ物と酒が登場する話。こういう漫画好きなのだー。永遠に終わらないやつ。

 

 ワカコさんのスタンスが好ましいってのが心地よさの理由なのかもしれない。お酒を飲みながらワカコさんの価値観みたいなものも端々に出てくるわけだけど、周囲に飲まれない(お酒の話だけに)強さや優しさ、自分の主張を押し付けない控えめな感じはすんごい大人な人だなーと思います。かっこいいいいいい。

 最近「一人○○」というのが当たり前になって、一人で何かを楽しむことについての世間の視線もだいぶマイルドになった気がします。

 この「一人○○」って「一緒にそれらを楽しむ人がいない」という事情もあるんですけど(私なんかそれです(苦笑))根本的なところにあるのって「一人で楽しめちゃう」「むしろ一人で楽しみたい」なのだと思うのです。誰かと一緒に経験を共有することの楽しさと、一人でじっくり堪能する楽しさって別物。私はそれを「飴玉を口の中で転がすことのよう」と考えていて、じっくりじんわり、その時感じたことはどういうことなのか、自分にとって何なのか、味わう楽しみって、どうしても誰かと一緒にいることだと難しい。相手がいる以上コミュニケーションは必要で自分のペースで動けない部分もあるから。

 「一人○○」ってのは楽しみ方の幅が広がったってことなのではないか、と思います。人類がお互いに人嫌いになったってこともあるのかもしれませんが(苦笑)。

 

 そういう意味で『ワカコ酒』ってのは一人呑みの楽しさがぎゅーーーーっと凝縮された漫画なんだろうなーと思います。私は飲まない人なのですが、こんな風にお酒を楽しめたらいいのになーって憧れてしまう呑みっぷり。酒だけでなく、こうして楽しめる何かがあると人生きっと豊かだな。そう思いました。

 

 多分どの巻から読んでも面白いしおいしそう。12巻を大切に読んでいきたいと思います。