根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

【ドラマ】BORDER 衝動~検視官・比嘉ミカ~ 感想

ドラマ「BORDER」が好きです。

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「好きです」と言いつつ、内容あんまり覚えていないのですけれど、それでも好きです。

 

まず原案・脚本を担当されている金城さんの歴代の作品に好きなものが多いです。

 

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何故好きなのかというと「ここ工夫しているんだろうなぁ」「他とちょっと違うなぁ」という要素が必ず盛り込まれているからです。その手の専門家ではないので私が勝手に言っていることだし、単純に私の好みの話だと思うけれど。

 

BORDERもそういう作品です。

テーマがきちんと押さえてあって、登場人物たちも個性的。連続ドラマの最後の展開にゾクゾクと鳥肌が立ち、無難に終わらせる「最終回」なんて一蹴してしまう、作品に対するプライドと、作品作りに対する繊細さを感じました。つまり大好きってことです。と同時に、これほどまで消耗する作品もないなぁ...とも思います。見ごたえ抜群。

 

そんなBORDERが映画化されるとの報を入手、さらには10/29にスペシャルドラマをやるということで。これでまた生きる楽しみが生まれました…。

 

本編のスペシャルドラマに先立ち、スピンオフとして主人公・石川安吾小栗旬さん演じる)を傍で見守りつつ共闘していく特別検視官・比嘉ミカ(波留さん演じる)を主人公としたドラマが放映されていたのでそれについてウダウダ書いていきます。

 

といっても、悲しいことに前編・後編の2週連続放送だったのに後編しか見ていないという体たらく。悲しい。ですが、前編見逃しちゃったよ!という私にも親切なダイジェストでストーリーをまとめて内容に入った流れだったので、まあ大丈夫でした。サスペンスドラマとかも1時間ものなら前半30分、2時間ドラマなら前半1時間見ていなくても全然対処できるところが私は大好き。

 

衝動の話

事件は「衝動」の話でした。

この事件の犯人は「サイコパス」と言ってしまってもいいのでしょうか。確かに子の犯人の殺害ロジックは、日頃の恨みとか自分の身の危険を抱いてとか金銭目的とか、そういうものではなかった。「人を殺してみたかった」「痛めつけてみたかった」「一度やったらやめられなくて」。確かに、理解できない。それを言うなら、日頃の恨みでも金目的でも人を殺す行為そのものが理解できない。だって、合理的じゃないと思うから。問題を解決する手段として殺害だけが唯一の道ではないと思うから。他の手段を見つけられるから人間だと思うから。

ともかく。「サイコパス万歳」と言いたくなるほど、「サイコパス」という言葉は非常に便利だなと思います。常人には説明がつかない、理解できない動機を、言葉にしてとりあえず居場所を作ってしまえる魔法の言葉「サイコパス」。でも、これって思考停止なのかもしれない。サイコパスという言葉に留まってるだけで何かが生まれるのだろうか。サイコパスというものがあるとして、私はそれを理解できるとは思わないけれど、成り立ちは非常に興味を抱きます。理解して問題が解決されるとも思っていないですし。

そんなことを考えていて、比嘉ミカがとった姿勢はすごいなぁと思ったのでした。

犯人から事件の全容を聞いて、彼女は嫌悪も拒否もしなかった。自然に犯人の前に立ちその話を聞き、犯人の「また会ってくれる?」という言葉に頷くだけ。感情を乱さず淡々と事件を追っていくその姿勢は検視官よりよっぽど刑事の方が向いているのかもと思いつつ、自分のペースで行動するほうが彼女のスタイルには合っているのかも。なるほど。

 

浅川刑事の話

今回比嘉とコンビを組むような感じで協力して事件を解決していく刑事として浅川という刑事が登場してきました。これはスピンオフで初登場の人物。工藤さんが演じていたのですが、良かったなぁ。実直で澱みがなくてまっさらだけど軽薄さがなくて落ち着いていてどっしりしていて、最高でした。特に連続して生徒が殺されている中学校で生徒に対して個別に面会の形で聞き取り調査をしているとき。刑事さんって基本的に疑うのが仕事なわけで、関係者とは一定の距離感を置くものだと思うのですが、浅川刑事の「淡々と仕事しながら聞き取りをしている中学生に配慮した、でも絶対流されないぜ」的な聞き取り姿勢がすごくよかった。なんというか、この人は真摯に聴き込みをしていて怖くないけれど、中学生だからといって容赦はしないし、全員疑っているんやで、という姿勢がありありとしていて。めっちゃ優しい刑事さんより、めっちゃ不機嫌な刑事さんより、こういう刑事さんが一番相手にしたら居心地悪いわぁ…(誉め)と思う刑事さんでした。本編には出ないのでしょうか。比嘉との距離間も素敵でした。女だからとか、刑事じゃないからとかではなく、比嘉の能力を買い人柄も理解し、踏み込まず疎まず。えーこうして言葉にしているといいじゃないか。

 

そして予告の話

そして最後の最後にゾクゾクしたのは、ドラマの内容が終わり、流れた本家スペシャルドラマの予告。どん。

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予告好きとしては、テンションが上がらずにはいられない予告。うひー。3秒ごとにうへー、と叫んでおりました。ああ、こうだった。そうだった。これだこれ。予告を見てドラマの雰囲気を思い出してきました。

音と映像による効果って面白いんだなぁ...と予告を見るたびに思います。音と文字の使い方。作品をどう解釈しどの部分をどのように伝えるのか。自分で予告を作るのはできないですが、見る側で楽しむのはこの上なく楽しい。

 

こちらの世界へようこそ。

ドラマの最終回で「あちら」から「こちら」にやってきてしまった安吾さんのその後のお話です。でも完全に「こちら」に染まってしまったわけでなく、片足踏み込んでしまったという感じ。「こちら」に完全に踏み入れてしまった人は「あちら」の人間として社会的な生き方も身に着けた上で生きていると思うのですが、安吾さんは境界線上にいてどちらの生き方も定まっていない。「あちら」からは疑惑の目で見られ、かといって「こちら」を支持することもできない。その境界線上で、安吾さんがどう振る舞うのか何を見るのか、今からとても楽しみです。

 

 

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