根津と時々、晴天なり

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【VIXX】「Hyde」が好きなので「新作だけが新しいのか」という言葉に全力で頷きたい今日この頃 

 私は、今、猛烈に、VIXXの『Hyde』が素晴らしい、と思っている。そして「新作だけが新しいのか」という言葉に、全力で頷きたい。

 

ゴッチのお言葉

 「新作だけが新しいのか」というのは、ゴッチが言っていた言葉だ。私が「好きだ~」と言える日本のロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のボーカル/ギターの人である。後藤さんという。

 ひょんなことで、Youtubeで発見したこの対談動画

 ファンなので、普段聴いている「あの」好きな音楽を作っている人がどういう人なのか、とか、そういう発見もさることながら、ゴッチのお言葉が刺さる刺さる。

 

 ちょっとだけアジカンの話をすると(本題はVIXXだからね)アジカンは2016年に20周年を迎えまして、その記念的なライブには私も参戦しました。とても楽しかった。そして、ちょうど節目となる2016年に、アジカンはとても新しいことに挑戦しました。それは、過去に出したアルバムの再録。曲は過去に出されたアルバムに入っているものそのまま。多少順番が入れ替わっているものの(それもまた味わい深い!)新しい曲は入っていません。

 「同じ曲で、そんなの面白くないのでは?」と思われるでしょう?そんなことありません。めちゃめちゃ面白いです。使っている楽器も昔とは違う。歌い方も変わるでしょう。曲のアレンジも変わります。それが「新しい」ということであり、曲は同じでも過去の『ソルファ』と2016年の『ソルファ』は違いました。(あ、アルバムの名前は『ソルファ』と言います。)ちなみに、なんかモヤモヤしているときは過去の『ソルファ』のキレキレで若さ持て余しているような感じが最高に心地よいですが、心底落ち込んでどうしようもなくなったときは、断然2016年の再録verの『ソルファ』が聴きたいです。もう音の厚みが違うんだな…。抱擁感がすごいのです。

 

 と、そういう粋な挑戦をしたアジカンがどうして「再録」という試みをしたのか、上の動画で語っています。(18:30~ぐらいからその話)いくつか挙げられた理由も「ああ~わかる」って感じですが、さらにゴッチはこんなことを言うのですね。

「新曲だけが最新なのか、疑問がある」

 …確かに。その通りだな、と。

「更新の仕方は 新曲だけじゃない」他にもある。だから「再録」だと。事実、聞き手である私はきちんと再録の中の「新しさ」を感じてそれを楽しんでいたりもする。

 

 だから、思うのです。

 ああ~VIXXの皆さん『Hyde』をもう一度歌ってくれませんか?と。(本題へ)

 

VIXXの『Hyde』は曲、ダンスの構成ともに見事だと思っている(特にダンス!)

 唐突にVIXXの『Hyde』という曲を持ちだしました。というのも今のところ一番好きなVIXXの曲は『呪いの人形』(ちなみに裏一位は『Time Machine』)ですけれど、『Hyde』は別で一目置いている曲だからです。この曲はすごい。

 特にすごいなぁ、って思っているダンスの構成ですね。これがすごい。

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 練習動画です。(以下しばらく私の『Hyde』愛を語る文章です)

 どんどんフォーメーションが変わっていくのはVIXX史上一番ハードなのでは?と思わせるもの。(『Fantasy』が出た際は『Fantasy』がハード、みたいに本人たち言っていた気もするけど)サビのところのキーも高いと思うのですよ...血管切れそうなくらい大変そうだな、っていつも思うのですけれどね。しかも、この振付というかコリオもよく考えられています。「ジキルとハイド」を元にした、愛をめぐる葛藤から生じる1人の人物の二面性をダンスでもって表しているのです。6人のメンバーを3人で分けて、N・ケン・ヒョギ組は善なる人格、レオ・ホンビン・ラビ組は悪というか憎しみを抱く人格、と分かれて、よく見ると仮面を剥いだり首を絞めたり、そういう振りで差異を設けている。すげー。

 こういう「物語性のある振付」ってのはVIXXの1つの特色にしていいと思います。『呪いの人形』なんかも、無駄な動きがないですもん。足音もしっかり合わせていたり、動きをシンクロさせていたり見事です。『Eternity』の振りも、曲のインパクトはないかもしれませんが、綺麗なんですよね~惚れ惚れしちゃう。

 この文章を書くにあたって、改めて練習動画を見返していたのですが、本当に泣けるくらい素晴らしいパフォーマンスだなぁこれって盲目すぎ?でもこのパフォーマンスについてだったら1時間や2時間は永遠に語れるのでは?というくらい、素敵。この振付考えた人天才だと思いました。組み分けもなんか見事で、えねねんとレオの最年長コンビを分けて、ケンちゃんとレオというメインボーカル組もしっかり分けて、どう考えても良い子であるケンちゃんはやっぱり善なる人格で(ありがとう)えねねんとホンビンという、ダンスセンターとビジュアルセンターという目立つ子もばっちり分けて、ラップをガンガン聴かせてくるラビは良い人だけどやっぱり悪(というか負)の人格に振り分けられていて、ひょぎの最年少+天使っぽさが善なる人として最高に噛みあっていて、この組み分け最高ですね。それに、VIXXの中では特徴的で、面白いパートをあてがわれるホンビンとヒョギを分けたのも素晴らしい。Bメロとかその対比ですよね。素敵。

 以上色々考えられるように、『Hyde』という楽曲は「練りに練って考えられた」「傑作となるべき傑作」という気がして私は非常に好きです。2013年、怒涛のカムバラッシュのなかでよくこんなの考えられたなぁって思います。これがあって、次の『呪いの人形』へ、さらには今のVIXXにつながったのです。

 

だからこそ思う「もう一度MV作り直してよ」という拭いきれない想い

 もちろん既存のMVもインパクトがあって、いいのです。いい。衝撃でしかない。けれど...もうちょいどうにかならなかったのか、このミュージックビデオ。

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 いや、改めてみるとレオさんの長髪とかいいものだなぁ…って思ったりするのだけど、やはり、やはり…ダサい?振り切れていて良いなぁと思う気持ちと、もっとどうにかならなかったのか?という思いが交錯しています。もっともっと色々ツッコミたいところはありますが、それは今回は割愛しますね。

 今のビジュアルでもう一度作り直してほしい、とは思うものの、実際に実現したところでどうかな…とも思います。理由はいくつかあって、この曲はまさに発展途上の段階、色々手探りでジャングルの中を模索しているかのようなエネルギーがあってこそ成り立つ題材だと思っていることが1つ。歌やダンスのパフォーマンスでもそれはうががえる。あれは相当エネルギー削るやつではないか?と密かに思っているのです私。それに関連して、今のVIXXは相当「品が良い」と思う。昔の本人たちと比較してもずいぶん「上品になった」と思った。元々VIXXというグループやメンバーは、インパクトあるコンセプトをこなしつつ、舞台の外ではのんびりとした普通の青年たち(まあ、アイドルなんてそういうものかもしれないけれど)。えねねんなんて、キャンドル自分で作ってますしレオは食欲の鬼と子ども大好きおじちゃんだし、ケンちゃんはなんだろ天然だしラビは…職人さんかな強いて言えば。ほんびんなんてゲーオタですよゲーオタ。ヒョギがその点すごいちゃっかりしているか。そういうメンバーのメンバーらしさはよほどのことがない限り昔も今もそれほど変わらないような気がしているのですが、2016年の活動を見ていると「品がある」アイドルだわ~って思うようになりました。整っている。収まっている。冒険しているようで暴れていない。『Fantasy』からの『The Closer』が最たる例で、あれを今後引き継ぐのか否か、は結構私が楽しみにしているところ。

 そういう今のVIXXと『Hyde』は折り合わないんですよ、なんとなく。私の個人的な意見なので賛否両論、いや否定の方が多いと思う話なのは承知の上で。私の中で『Hyde』はエネルギーの爆発、という位置づけであることがよくわかりました。

 

「新作だけが新しいのか」という問いに戻って

 「ジキルとハイド」。1人の人間の二面性。素材だけでとても心惹かれる『Hyde』。

 この文章を書き始めたとき、私は「もう一度、『Hyde』という楽曲を最高の形で再演してほしい」と思っていました。メンバーの歌唱力は昔より確かなものになった。ダンスも踊ってきた。体力は衰えたかもしれないけど、それでも!今の力で全力でパフォーマンスしてほしいな、と。それだけ良い楽曲だから。よいパフォーマンスだったから。だけど、当時の気力のまま解釈を深めて再演するのは難しいでしょう。んなのわかっています。ライブという空間がそれを可能にしてくれると思いきや、まだ足りません。だってライブは『Hyde』だけではないのです。『Hyde』に100%力を使うわけにもいきませんからね…

 ということで、私はVIXXに最新曲だけではなく既存の曲もがつがつパフォーマンスしてもらいたい。今の力だったら、きっと昔とは違った新しさに出会えると思っている。具体的に言うならば、メンバーのお気に入り曲とかを再録してCDを出してほしい。ちょっとアレンジした『Hyde』とか聴きたい。なんなら「ジキルとハイド」を再解釈してカムバしてほしい。多分売れないから無理だと思うけど。

 

 新作だけが新しいのか。

 更新の仕方は様々ではないか。

 

 私もそう思います。常に「最新」を求める音楽の業界。でもクラシックなんかも古典を色んな演奏者が奏でて新しさを創出している(そしてそれが強い)分野ですね、そういえば。

 

 売れないといけない。厄介な問題です。K-POPアイドルの曲を好き好き~と言っていながら、私は「1位って大切なのか」「大衆性とはなんなのか」「素晴らしい音楽パフォーマンスとはなんなのか」ということを考えます。ま、アイドルだから音楽的なこと以外の要素も重要なところなのでしょうけれど。

 

 そんなことを、考えました。

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