根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

#128 映画「かもめ食堂」を観る

 映画「かもめ食堂」を観ました。(かもめ食堂

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 途切れ途切れには観ていたけれど、そういえばラストは何だっけ知らないな、と思って、この際DVDを借りて観ることに。観てよかった~と思いました。

 

かもめ食堂」全体的な感想

 私にとっては「おかゆ」的な映画だな、と思いました。

 おかゆって、体調が悪いときにでも食べることができるものの代表格的な存在ではないでしょうか?(私は体調が悪くても大概食欲があって食べることができるのでおかゆは食べないけれど)この映画はそんな「心どん底でも、心底疲れきっていても観ることができる映画」だと思いました。だから、おかゆ的。

 ではなんで、「心どん底でも、心底疲れきっていても」観ることができるのかというと、派手ではないからだと思うのです。ドラマティックな展開があるわけでもない。派手な音楽もない。登場人物たちもごちゃごちゃしていない。「こうあるべき」みたいな押しつけがましさがない。人間の基本的なところについて扱っている。恋愛をテーマにしているわけでも、家族愛がテーマでもない。だから、私は観ていて疲れないのです。

 もちろん、「かもめ食堂」全体に流れている雰囲気、哲学、価値観と折り合いがつかなければ、全然面白くないと思う。でも、どこかでも「ああ、こういう生き方って良いな」と思えれば、好きになれる映画じゃないかと思います。よって、1人で静かに見るのが良し。

 

 以下、映画の中で気になったところを挙げていきます。

 

素敵な小道具たち

 モノが大好き!人間の私にとっては、「ひゃ~素敵」と言いたくなる素敵な小道具たちが集まった映画でした。いちいち料理に使う道具とかが良い。コーヒーを入れるのに使うやかんとか、お皿とか、おぼんとか、マグとか、魚を焼く網とか。自転車とか、市場で買った食材を入れるバッグとか。マサコさんのトランクとか。いちいち素敵でした。そういうのが好きなんでしょうねぇ私は。

 なかなか身の回りのものすべてを統一したり、好きなもので統一することも難しく、少しずつ気に入ったものを集めているのですけれど、食べ物屋さんとかカフェとかはそういうものがトータルでプロデュースされているから見ていてとても楽しい空間であって。サチエさんも劇中に言っていたけれど、「観光客のためではなくて生活の一部になるような「食堂」にしたいんです(意訳)」という言葉がぴったりな「かもめ食堂」という空間がそこにはありました。

 

困ったときは、何か食べましょう

 料理がおいしそうな物語はどれも好きです。

 「かもめ食堂」でも色んな食べ物が登場してきます。焼き鮭、おにぎり、シナモンロール、コーヒー、しょうが焼き。どれもなんてことない料理(シナモンロールは作れないけれど)なのに、どれもとってもおいしそう。それだけで幸せな気持ちになります。

 印象的だったのは、ちょっと険悪な雰囲気が物語中に発生した時のこと。

 ちょっとした事件が発生して、なんかぎこちなくて、会話が淀んで、空気が悪いなか、サチエさんが一声かけて「おにぎり食べましょう」だっけか「お腹すいた」か、とにかく食堂で働く3人の女性がおにぎりを作りだすところ。テーブルの上にたーんと並べられたおにぎりに、それぞれおそるおそる手を出し、ご飯にかぶりつき、自然と笑みがこぼれちゃうところ。確かに、これは人の真理だと思いました。なんかイライラしているとき、まず疑うのは、自分が空腹かどうか?だと思うのです。お腹が空いていたとしたら、まずはおいしいものを食べてから改めて考えたほうがいいな、と。お腹が満たされると、大概のモヤモヤはなくなっているのかもしれない。逆に食べものが喉を通らないときは、私の場合は相当やばい状況だな、と(笑)

 

ふとした場面が魅力的でありその人らしさ

 これまた、私の「細かいところが好き!」ってポイントなのですが。

 

 市場に買い出しに行くために海岸線をサイクリングしているところ。

 プールでゆったり泳いでいるところ。

 コーヒーを作るためにフィルターにお湯を注いでいるところ。

 食堂のテーブルをクロスで拭くところ。

 白夜で外が明るいなか、間接照明で薄暗いダイニングでの食事。

 

 なんか妙に好きなんだよね~この場面、この一瞬、ってのがたくさんある映画です。

 

 それに加えて、人物の些細な所作、表情でその人らしさって出るのだろうなぁ、ってとても感じました。私にとってそういうところからやってくる「情報」は言語化されていないもので、「なんか好きなんだよね~」「なんとなく合わないような気がして」の「なんか」「なんとなく」の部分なのだろうと。

 ミドリさんの口調や動作からは、彼女の生真面目さがにじみでているし。マサコさんのゆったりとしつつ芯がある話し方は、そのまんま彼女の人となりで。サチエさんはあんまり表情豊かってわけでもなく、喜怒哀楽の変化が緩やかそうなところが見えるし。

 もうそういうところで、人は人を判断し判断されているのだろうなぁ、これは小細工とか無理だわ、なんて実生活について考えたりもして。

 

 

 こんな感じで、なんてことない優しい作品ですが、色んなことを考えました。

 「かもめ食堂」良かったです。