根津と時々、晴天なり

大好きなものをひたすら言葉を尽くして語りたいブログです。

【読書】雨宮まみ『まじめに生きるって損ですか?』を読んで

 タイトルの「まじめに生きるって損ですか?」と思ったことがあったので、再読しました。図書館派の私ですが、この本はきちんと購入して手元に置いています。多分これから歳をさらに重ねても読むことができる(読みたくなる)本です。

 

飲み物に詳しくなろうと思いました

 筆者である雨宮まみさんが、寄せられてくる「愚痴」の数々にお答えする本です。でも「悩み相談室」ではありません。「こうしたほうがいいですよ」という正解はあんまり提示されません。どちらかというと、スナックのママさんが「はい、お酒飲みなさいな」って感じでお酒を差し出してくれるような優しさです(スナック行ったことがないけれど)。愚痴にお答えするときも、毎回「はい紅茶ね」とか「煎茶がいいですかね~」とか、その人にあった飲み物を差し出してから始まるのも、私がこの本を好きな理由の1つです。

 あまり飲み物に頓着しない人なのですが、紅茶とかハマってみたいなぁと思いました。飲み物って「喉の渇きを満たすだけのもの」と思っている私にできるかな。

 

「正解」なんてないのだな、と

 私が「真面目」であるのかはさておき、真面目である人は得てして「正解」に縛られてしまうというか、「こうあるべき」という価値基準が「自分」ではなく「他人」にあるような気がしています。それが「たった一人」なのか「自分以外の大勢」なのか、という違いはありますが、どちらにせよしんどい話です。なぜなら、自分は自分でしかないのであり、絶対他人と違うからです。他人を100%満たすことなどできないのに、100%目指して頑張ることはつらいです。私は今でも他人の機嫌を損ねることがとても怖いし、それを回避するべくあらゆる手を尽くすのですが、ふと我に返ると「これはもうどうしようもない」というレベルで、他者が機嫌を損ねていることもあるのです。要は私が何をしてもこの人は機嫌が悪い。それは私の問題というより、相手の問題であるのだと。

 この本では色んな愚痴が寄せられます。それをまとめて論じることなどできませんが、「自分を大切にしなさい」「生きること以上に「正しい」ことはない」ってのは、全体を通して流れている地下水のようなものだと思いました。もしかしたら雨宮さんの信じること、なのかもしれません。他者が、社会が時々押し付けてくる「正しさ」も、絶対に正しいなんてことはない。その正しさが、その人を徹底的に痛めつけ苦しませ、あろうことか死に追いやろうとしているなら、それは逃げていいと思うのでした。

 

「まじめに生きるって損ですか?」

 私が「まじめ」な人だったとして、自分が「まじめだなぁ」と思う過去の行動とかを振り返って思ったのは、「まじめということで得られるメリットもある」ということです。「まじめ」ということがとてつもなく強い状況もある、ということ。

 例えば、今働いているバイト先で、多分私は「まじめ」なのですが、もちろん「損」をすることもあってまじめに働いていない人の1.5倍は働いているのに同じ給料なんて…と思うこともあります。けれど、「まじめ」であることで他の人との付き合い方は格段に良くなるし、私が困ったときに融通が利く機会も多いです。「信頼」を得ることができる。これは「まじめ」を有効的に活用した場合のこと。「まじめ」故に考えすぎて機能停止に陥り迷惑をかけまくったことも、何度もありますが。

 「損」をするからって、「まじめ」である人が自分を変えられるか、といってもそういうわけにもいかないと思います。問題なのは「まじめであることで損をしてしまったとき」のダメージを減らせるか、なのかも。上手くいっているときは、多少の損でも問題ない気がするのです。あんまりダメージ受けずに立ち直れている気がする。だけど「まじめ」であるが故に、色んなものに足をとられ、メタメタに傷ついていると、ささいなダメージもクリティカルヒットだし、とっても痛いのでは?だから「損」をしても「私は大丈夫!」って思える、日頃の体力づくりが必要なのかもしれないなぁ、と思いました。

  

 日頃の体力づくり、と題しまして、私は最近「自己嫌悪」をしなくなりました。中学生ぐらいの日記には「自己嫌悪」の文字が出てこない日はないくらい、自分を嫌悪している自分に「自己嫌悪」という負のループでしたけれど、最近はそんなことしません。そもそも「自己嫌悪」に生産性はない、生産性というか事態が良くなるための手段ではないと思ったからで、それよりは、「私今日もよくやった!明日は違うことがしたい!」って思える方が、ずっとずっと良いのでは?と思えたからです。

 

 なぜか体が重たい、自分が嫌い、他人も嫌い、日々憂鬱、というすべての人に読んで欲しい本です。内容的に女の人がはまりこんでしまう愚痴も多いですが、それ以外の人が読んでたらどういう印象を抱くのか、ちょっと気になる本でもありました。