根津と時々、晴天なり

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【読書】『バッテリーⅠ』を読んだ

祝☆アニメ化

平成生まれの人なら学生時代目にしたことはあるのではないでしょうか?児童文学小説(らしい)で名作の『バッテリー』がこの春アニメ化されるそうです。

battery-anime.com

 

いや~。このタイミングでアニメ化です。アニメ化されるとは思っていなかったので驚いています。私は大体中学生くらいに小説を読んでいたと思います。文庫本は全巻持っています。私が自分のお小遣いで買った初期の本なので、印象深い作品です。

 

そして。この度のアニメ化を受けて、もう一度『バッテリー』を読み直そうキャンペーンの真っ最中です。今日、1巻を読み終えました。つきましては、整理するためにももう一度この作品を振り返ってみようと思います。

 

バッテリーとは

バッテリー (角川文庫)

中学入学を目前に控えた春休み、岡山県の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自信を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。

 これは、第1巻の角川文庫版の背表紙に書かれた紹介文の一部です。1巻では春休みの様子。巧が新田という町を訪れてそこに徐々に馴染んでいく様子が丹念に描かれております。

 

年を経て再読した感想

胸をときめかせてこの本になったころの気持ちは遠い彼方にありますが、でも、かすかに感動だったり覚えていることもあります。

再読して改めて感じたのは、永倉豪という少年の変質がこのシリーズの魅力でもあり、重要なポイントなのだろうか?ということです。もちろん、メインの主人公は原田巧であり、描かれる風景も巧目線です。圧倒的な天才であり、しかし他者に対して厳しさも持つ巧が、周囲と接するうちにどう変わっていくのかがこの本の流れであることに、疑いの余地はありません。しかし、圧倒的な天才に真正面から向き合う「凡人」(あくまで、ずば抜けた才能を有していないもの、という定義で使っています)である豪という存在は、非常に魅力的です。私はむしろ「豪」という少年にポイントを置いて、今回の再読キャンペーンを進行していこうと考えております。彼はどう変わっていくのか?その過程はかなり痛々しいものがあった気がします。

この小説を読み始める季節は、何より「春」がいいですね。植物が芽吹く始まりの季節。この2人はそういう季節に出会います。

 

巧という少年

面白いなぁ~と思うのは、巧という少年が嫌な奴なんです(笑)どうしようもない悪なのではなく、ピッチャーにおける才能と引き換えに、何かを神様にあげてしまったような感じ。いい子なんですよ。彼自身は意地悪しているつもりじゃないけど、もうちょっと人の気持ちを考えてもいいじゃん!みたいな(笑)だって、自分は試されたくないのに他人を試すことは厭わないとか!もう、まったく!って感じなのです。

でも、私が巧の好きなところは「自分を偽ろうとしない」ところです。圧倒的な力があるからこその自信なのかもしれないけど、自分の至らないところは、他人に対しては強がるけど、心の中ではきちんと向き合って考えられる人です。私は自分自身でさえ偽ってしまうことがあるので、それはすごいことだなって思います。新田に来てからの巧は新たな環境で、たくさんの「?」がブクブクと浮かんでいるわけです。

自分の家族はどういう人物なのだろうか?

弟や豪にイライラするのだろうか?

祖父が言っていることはどういうことなのか?

それはもうたくさんの?が出てきます。それを厭わずに素朴に考えようとする姿は、巧のこれからを思うと楽しみになってくるのです。

 

豪という少年

「豪」という人は、まあものすごい良い子です。わかんないけど、成績もそれなりに良さそうで、人格も面倒見が良く他人の気持ちも察することができる人です。

父はお医者様で、母親は一人息子の豪に跡継ぎになってほしい。だから野球なんてやめさせたい。この春中学生になる子にとっては鬱陶しい状況ではありますが、それを頭ごなしに反発するわけでもなく、とりあえずなんとかやっています。

豪のルーツはどこになるのだろう?って思います。聖人君主か、と。だけどこれから巧と触れあうことによって、豪の中でも何かが変わっていくんですね。もし巧と出会わなければ、豪の心の闇?のようなものは生まれなかったのかもしれない。もしくはそれほど大したことにはならないのかもしれない。そうだとしても、そのまま生きていくのが果たしていいことなのか?と言われるとわからないのですね。なんというか、豪は自分でも無意識のうちに「良い子」であろうとする子なのではないかと思います。本人は無意識ですから、しんどさもないし違和感も抱かない。自然と周りと調和できてしまう個性の持ち主です。なんだけど、本当に豪のためにそれっていいことなのかな~なんて、私なんかは感じてしまいます。

 

 

 

と、つらつら書いていて疲れました(笑)このようにして、私も再びこの小説を読むことを楽しみます。桜が散るくらいまでには読み終わりたいな。